2004年08月27日

第4回:もう一つの時間差

 前回のコラムでは、人口増加率のピークが全国平均と沖縄とでは、時間差がある ことに着目して、長寿産業を提案しましたが、今回はもう一つの時間差の活用を 皆さんと共に考えましょう。

   沖縄を含めた地域経済と常に国境がつきまとう国際経済を比較すると、地域経済 では、人・モノ・資本の動きを関税、法律などで制限することは出来ません。そ のため、国内であれば、人・モノ・資本は、利益、幸福、その他の目的で地域間 を自由に移動します。また、起業家精神等の他の条件が同じならば、国内の他の 地域に比べて豊富にある人・モノ・資本の価格が安くなるので、その地域内に豊 富にある資源を利用した産業化(これを比較優位産業といいます)が進むと期待 されます。例えば、沖縄では、観光産業やマンゴー等が比較優位産業です。

 旧暦の七夕を過ぎると、沖縄でも秋の気配が日増しに色濃くなります。秋の経済 学会シーズン到来で、東京に出かける機会も多くなるのですが、東京などの東日 本では午後4時になると日が傾き、黄昏時を迎えます。ところが、沖縄の午後4 時はまだまだ明るく、東京の午後2時前後の感覚です。それもそのはずで、沖縄 は日本の中では西の方にあり、日の入りが遅い地帯にあります。そこで、太陽を もとにした東日本の時間感覚との調整を図る意味で、”時差”を設けてはいかが でしょうか。

 時差を設けると、例えば、観光客は早朝在所地を出発し、沖縄での観光をこれま でよりも1~2時間以上満喫し帰宅出来ます。沖縄での滞在時間が増えた分、消 費額が増えることが期待出来ます。また、金融関係では、東京市場がその日の取 引を終えた後、沖縄市場で資金運用が可能となります。前回述べた、豊かなエル ダリー層の沖縄での年金運用も可能となります。

 簡単なことを難しく言うのが学者だと揶揄されますので、学者用語で締めくくる と、時差を設けることで、南北ばかりでなく、東西の地理的位置および制度的比 較優位産業化も可能となるかもしれません。   

Posted by 宮平栄治 at 00:00Comments(0)TrackBack(0)沖縄経済学

2004年08月20日

第3回:若さと時間差で

 今日のコラムのテーマは、春の高校生バレーボール大会のテーマではありません。沖縄における産業興しのキーワードとなる言葉かもしれません。

 今月4日、総務省が発表した2004年3月末時点の住民基本台帳に基づく人口調査結果によれば、我が国は、平成18(2006)年に1億2,714.1万人でピークに達し、その後減少に転じると分析しています。

 昨年までの予測値が、平成19(2007)年に1億2,778万人であったから、この間にも少子高齢化が進み人口のピークが1年早まり、その分、日本は高齢化が進むということになり、年金や医療保険への影響が懸念されます。しかし、各都道府県別でピーク時を比較すると、昨年までの予測では、沖縄県は平成30(2018)年までは人口の拡大が続くと予測されています。

 我が国の就業人口でみると、働く人のほぼ、4人に3人の人がサービス産業に従事していますが、サービス産業の特徴は、サービスの需要発生と生産が一致しています。つまり、サービスを受けたいと思う人がいる場所でサービスが生産され、供給されます。また、サービスは、在庫品として保存することが難しいか、あるいは出来ません。

 少子高齢化の到来は、将来、日本は、高齢化に伴い、介護サービスを必要とする人が増加しますが、介護を行う若者の数は減少していますことを意味しています。ということは、外国人労働者の受け入れが少ない我が国においては、介護サービスを行うには、介護サービスを必要としているお年寄りのいる地域に若者が行くか、介護サービスを供給している地域にお年寄りが行くかしかないわけです。

 つまり、日本の総人口のピークと沖縄県の総人口のピークに時間差があるということは、沖縄県にはシニア産業と介護サービスを提供できる貴重な若年者労働力があふれているともいえます。また、近頃では危ぶまれてはいますが沖縄県は長寿県でもありますし、何よりも冬は短く暖かいし、今年に限って言えば、夏は涼しい。

 若さと人口増加のピークの時間差を利用するだけではなく、長寿食、地域社会との関わり、エイサー、琉球舞踏・音楽、空手、沖縄語など文化・教養の楽しみに、医学、薬学や栄養学などを加え、高齢を豊かに生きるための長寿サービス産業の確立も夢ではないと思います。    

Posted by 宮平栄治 at 00:00Comments(0)TrackBack(0)沖縄経済学

2004年08月13日

第2回:琉球弧の島々ブランド化構想

 7月22日(木曜日)朝刊によれば、産官学で「伊豆見みかんのブランド化へ」への取組みがなされているといいます。ブランド化に関して3年前から提唱している者にとっては、非常に喜ばしい傾向です。ブランド化によって、商品からの利益率も上がると予想され、また、品質管理の徹底、出荷調整、パッケージ・デザイン等、今後の努力しだいによっては、例えば魚沼産コシヒカリや関サバや関アジの様なブランド力の確立も夢ではないでしょう。

 ただ、きがかりな点は、沖縄の冬を代表するタンカンが収穫できる地域は、伊豆見ばかりではないということです。たとえば、お隣の鹿児島県奄美大島や宮崎県でもタンカンは精選し、出荷しています。

 特に、与論、沖永良部、徳之島、奄美大島は沖縄県と同じ「亜熱帯」地域に属し、マンゴやサトウキビなど農業生産物では、沖縄県と同じ農産物を生産しています。ということは、このまま沖縄だけのブランド化が展開されると、奄美地域との競争関係になり、流通網も含めた強固なブランド化を行わないと、安値競争に巻き込まれてしまう恐れがあります。

 そこで私は、奄美を含めた琉球弧でのブランド化を提唱します。琉球弧のブランドによって、産地間競争を避けるとともに、奄美と沖縄の統一ブランドの下、南北の距離差を利用し、出荷時期と出荷量の調整をおこなえば、農家の収入も安定し、海運物流の引き下げにもつながるのではないかと考えています。

 おりしも、道州制が検討されていますので県境を超えた文化、経済等での交流も可能です。なによりも、与論、沖永良部、徳之島、奄美大島と沖縄とは同一の文化圏です、わざわざ、競争関係を創り上げる必要もないでしょう。

 また、琉球弧ブランドによって、クルージングという新しい観光形態も可能です。例えば、鹿児島から乗船し、または、空路で与那国島に行き、与那国から乗船し、その乗船中に目的地の島の文化や芸能を学び、目的地の島で乗船中に学んだ事を2日から4日かけて体験します。そして、次の島へ移動。島伝いに南下、あるいは、北上していく旅です。少しずつ変化していく、自然、言葉、芸能などを体験できるツアーも企画できるのではないでしょうか。

 琉球弧の島々は、それぞれ、真珠のような美しさがあります。一個の真珠、それ自体でも十分いいのですが、ブランドというチェーンで結ばれた真珠のネックレスには、大小の真珠が隣り合うことで、一粒が、一粒が微妙に異なる淡い輝きを放つという魅力があるとは思いませんか?   

Posted by 宮平栄治 at 00:00Comments(0)TrackBack(0)沖縄経済学

2004年08月06日

第1回:ホンモノ志向の時代

 7月22日に公正取引委員会が塩の原産地表示に対する警告を発した記事は、このコーナーをお読みになっている方々も多いだろうと思われる。

 この意味を沖縄の産業振興の観点から考え直すとどうなるだろうか?

 第1点目に、情報化時代、中・高所得者層の出現と一通りの消費財が行き渡った成熟化社会、およびインターネットや高学歴化など学習環境豊かな社会になった時代においては、本物志向と同時に説明責任が常に伴うということ。

 産業振興の観点で言えば、由布院や黒川温泉の様にいかに時代に即した”本物”を 作り出し、売り出し、納得させるためにプロモートすれば消費者の支持を得られるという事である。

 第2点は、記事にもあるように、”氷山の一角”であるということ。例えば、ウッチンなどの原材料はインド、インドネシアやベトナムから調達し、沖縄で加工している。また、お土産品店のお菓子類の製造やパッケージは県外が多い。これが果たして沖縄産なのだろうか、ということも考えなければいけない。なぜなら、公取委がなぜ表示にこだわっているのかといえば、もしすべての情報が開示されたならば消費者はその商品を購入しただろうか、ということである。

  本物志向とも関連するが、沖縄の文化は沖縄で無ければならないという意味で究極の本物である。例えば、三線やエイサーの太鼓、空手着などを沖縄の企業が独占して販売するとかなりのブランド力と産業力になるのではないだろうか。この件に関しては、機会を改めてイギリスの文化政策から考えてみたい。   

Posted by 宮平栄治 at 00:00Comments(0)TrackBack(0)沖縄経済学