2006年09月19日

第166回 「北海道庁の戦略にこの人々あり」

さて、前回お話ししたように、当分は団塊世代移住先進地域のヒアリング調査を展開します。

今日は、北海道庁でのヒアリング調査から得た内容について、立案者の足で稼いだ政策について・・・

お会いしたのは、北海道庁知事政策部主幹の大山さんと同主任で函館市役所から出向中の廣瀬さん。なぜ、函館市役所から廣瀬さんが出向しているかについては函館市役所編で述べましょう。

さて、大山さんらの活動内容は、まず、北海道について外部の人がどのように見ているかについてから始めています。具体的には1万人の方にアンケートを実施。

その結果、北海道自体にブランド効果があり、道内の各市町村が単独でPRを行っても効果がないことを確信。

そのため、市町村を巻き込むために、なぜ、退職者を呼び込むべきか市町村長に説き、理解を得た61の市町村で北海道移住促進協議会(事務局は函館市)という登録型市町村制度を立ち上げ、ワンストップ機能、北海道ブランドの一体感の醸成、旗振り役やるものの、移住者確保については、各市町村のアイデア競争が基本スタンス。

なお、北海道移住促進協議会のホームページアドレスは

 http://www.dankai-iju.jp/

をご参照下さい。

北海道の市町村数は、平成18年3月31日段階で、35市130町15村の計180団体(平成11年3月31日では、34市154町24村の計212団体ありました)ですので、必ずしも、全ての自治体がこの協議会へ参加していないことが分かります。

しかし、参加した市町村長でヒアリングした函館市、伊達市、そしてニセコ町では見事なまでに“まちづくり”についてコンセプトが統一され、ヒアリング開始前に「道庁の担当者はどう言っていた?」なんてことは一度も聞きませんでした。

参加・不参加の理由は、なぜリタイア層を呼び込まなければいけないのか、という話に首長さんが理解できたかどうか。

説得の際には、

① 移住者や交流人口が増加すれば“まち”が元気になり、明るくなり、その結果、人が集まってくるという好循環効果が期待できる。
② 北海道も若年者の失業者が多いので、移住者増えれば、物品販売のみならず、福祉・医療・介護サービス需要が拡大し、若者の手が必要となる。その結果、若者の失業者が減り、若者の定住人口が増え、過疎対策となる。
③ 土地の無料譲渡や補助金だけでは人は集まらず、自己実現できる場所の提供が必要である。そのためには、今住んでいる人たちが生き生きとした、あるいは、生き生きとしている“まちづくり”が必要になる。
④ 「住んで良いまち、暮らして良いまち」の実現には、基本的には知恵を出せば良いのでお金があまり必要ではない。 このあたりは、三鷹市も同じようなコンセプトです。
⑤ 知恵の部分で足りない部分は、コンサルティングや知識人に相談するが、全て任せっきりにしないで、知恵の一部を残してもらう。

さて、知恵を残したコンサルティングは“飯の種”を失うことになるわけですから、そんなコンサルティングはいないとお思いかもしれませんが、実は、そんなコンサルティング会社もあるのです。

実態把握と将来像を描き、そこから何をすべきかを考えている点がお分かりいただけたと思います。

次回は、北海道移住促進協議会の事務局が置かれています函館市についてご報告致します。

さて、明日、9月20日(水)から21日(木)まで福島県、青森県および青森市へ出かけ、ヒアリング調査を行います。どのような面白いお話が得られるやら、乞うご期待下さい。


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Posted by 宮平栄治 at 21:47│Comments(3)沖縄経済学
この記事へのコメント
宮平先生、はじめまして。時々、読ませてもらっています。
私は昨年会社を定年になり、今は素浪人の身です。昨年、伊是名の生家を
修復し、整備と掃除に年2回(2週間)出かけています。3年後位から、3ヶ月
位過ごせたらと思っています。という訳で、移住というテーマにも興味がありますが、このテーマの実現によって得をしない人間が主体にならないとダメ
ではないか?と思います。ヤッタ、ヤッタ、こんなに効果があった!と短期に
やるものではないとーーー。田舎のアッチコッチに過去のアンダグチの後が放置されているのを見ると、怒り心頭に発しますが、自分は大和でのーのーと
していましたのでそんな資格ないなーーーと。来月島で4週間ほど過ごしますが、このテーマをいろいろ考えたいと思います。
  晩学事始で、マーシャルの”ウオームハートとクールヘッド”に感動している無知無学な技術屋あがり  より。  ぐぶりーさうぃたん
Posted by 山川  健二 at 2006年09月23日 09:48
こんばんわ。
以前から、北海道の企業誘致、移住、失業率についてとても
沖縄と似ていると思い興味がありました。
私も名護市の企業誘致で出来た会社にいますが、
北海道も沖縄と同じような取り組みをしているようで、
とっても興味があります。
色々調査結果など楽しみにしております。
Posted by やんばるっこ at 2006年09月27日 00:00
山川健二さんへ

 コメントありがとうございます。

 北海道の伊達市やニセコ町についてのブログで詳細は述べさせて頂きますが、いわゆる、まちづくりで旬な場所は、山川さんがおしゃるように、
 長期的に
 熱き思いの人たちが
 一生懸命 
 体と頭に汗をかいている
点が共通しています。

 伊是名でのご健闘を祈念しています。また、ブログへ遊びに来て下さい。


”やんばるっこ”さんへ

 コメント頂きありがとうございました。

 北海道の「まちづくり」の今後の展開は、伊達市とニセコ町です。

 北海道民と沖縄県民のもう一つの共通は、どちらも自分の地域が大好きだという点です。

 もしかしたら、そこも人々を引きつける要素なのかも知れませんネ。
Posted by 宮平栄治 at 2006年09月29日 17:11
 
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