2006年10月01日

第169回 「住んでみたい“まちづくり”が人を呼ぶ」

今日から10月ですネ。今日は日曜日ですが、私は団塊世代のU・Iターン事業のデータ入力が朝から、大学で学生と作業しています。

さて、前回は、ブログでは、移住者の方々ばかりでなく現在の居住者にも行政においても対象者、対象者と接触頻度の高いメディアの選択、タイミングなどの適切な情報発信が大切であることを述べました。

今回は、移住者政策先進地北海道でも最先端を行く伊達市の取り組みをご紹介・・・

伊達市は、北海道でも南に位置し、冬でも温暖で雪が降らないという有利性を活かし最初は北海道内から、主に転勤者を中心に移住者が多かったのですが、市の取り組みが評価され道外からも200~300人が移住しています。

伊達市の取り組みの特徴を一言で述べるならば、移住者のための“まちづくり”ではなく、現在伊達市に暮す人々が、さらに住んでみたくなるような“まちづくり”の結果、移住者が増えたということです。

そのための取り組みとして、平成14年1月から平成16年3月まで、若手経営者63名が研究会を、住宅流通、 IT関係、生活サービスの3部会で実施。平成16年5月から「豊かの街協議会」へと発展し、伊達市のまちづくりに携わっています。

伊達市のまちづくりは、コンサルタントに丸投げするのではなく、「豊かの街協議会」が担っています。とはいえ、知恵を残すコンサルタントと大学関係者との情報・意見交換や研究会は行っています。

「豊かの街協議会」の成果は、たとえば、エルダー移住者向けの住宅については、「伊達市基準」を設定し、この基準に適合した住宅に関しては伊達市がホームページや広告で推奨としています。

その基準とは、全室バリアフリー、体の具合が悪くなった場合の救急ボタンを全室に完備、エレベーターも救急車を呼んだ際、ストレッチャーでの移送が可能なような大型のエレベーター、また、昼間は介護士の資格がある管理人が常駐し、夜間は警備会社との契約が要求されます。

住民にとっては安全と安心の確保と保障がありますが、伊達市の業者にとってのメリットは、伊達市からのお墨付きがえられ、道外の大手ゼネコンからの競争面で有利であること。また、伊達市のメリットは、税金を投入することなく、地元企業の競争によって、住みやすいまちづくりが運営できるということです。

また、ホームページでの市の紹介に加えて、新聞やテレビで報道されることで伊達市の名前が全国区になるにしたがって、情報を検索し、伊達市のことを十分に調べて、その後、ショート・ロングステイし、移住を決定する人が増えるため、移住当初から「伊達市民」としての意識が高く、その結果、これまでの住民と移住者とのトラブルもほとんどないことも特徴です。

担当者の方に、移住者のための特別なことをおこなっていますか、という質問に「何も特別なことをやってはいない。土地を無料で贈呈するとか、移住するとお金を与えるなどの飴で釣っても、市に魅力がなければ、その人は去ってしまい、長続きしない」というコメントが、伊達市における“まちづくり”の全てを物語っています。


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Posted by 宮平栄治 at 10:52│Comments(0)沖縄経済学
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