2006年10月03日

第170回 「デフレは脱却したか」

景気の持続的成長が「いざなぎ景気」を抜き、いつデフレ脱却宣言を行うかについての見出しが躍るようになりました。

査尾身幸次財務相は3日の閣議後会見で「デフレ脱却宣言をしてもいい」と述べたとか。

その発言の背景には前日10月2日(月)発表された日本銀行の企業短期経済観測(日銀短観)が・・・

その日銀短観の9月調査では、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は大企業製造業でプラス24と前回6月調査より3ポイント改善し、2四半期連続で改善。詳細は、日本銀行ホームページの

http://www.boj.or.jp/stat/boj_stat/tk/gyoshu/tk0609.pdf

を参照下さい。

さて、日銀短観でなくても、私たちが景気指標を身近に感じるものとして3つのKがあります。

そのKとは、一つめのKは広告費のK、二つめのKは接待などに充てられる交際費のK、そして、接待は黒塗りのハイヤーで送迎がつきものですから最後のKは交通費のKです。

昨年度の広告費用は、10月2日の日本経済新聞のホームページ版によれば、前年比3.4%増で、2年連続の上昇と景気が上向き加減であることを示しています。

しかし、日銀短観でも述べられていますが、大企業製造業は、景気が良いと答えた企業から悪いと答えた企業を差し引いた値は金属製品を除いて全ての業種でプラスでしたが、中小企業では全業種では-、また、産業ごとではプラスとマイナスが混在。

さらに、判断項目では、国内市場は冷え込みが続き、海外市場での実績で大企業の景気が保たれている事が分かります。

さらに、長期的な景気を展望する上で重要な指標である生産・営業設備では、全産業がマイナス2ポイント、大企業でマイナス1ポイントと危うさも残しています(設備投資と長期成長の関係については機会を見てお話いたしましょう)。

そういえば、借り手が見つからず鉄骨むき出しの屋外広告塔や、テレビでは広告主がいないため、時間を埋めるためテレビ局や番組の宣伝があるなど力強い景気には至っていないようです。

また、厚生労働省が10月2日に発表した8月の毎月勤労統計調査によれば現金給与の総額は前年同月比0.5%減という数字も、景気の先行き、特に国内市場がいまいち力強さが感じられないことを裏打ちしています。


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Posted by 宮平栄治 at 23:21│Comments(0)沖縄経済学
 
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