2007年04月29日

第213回 お医者さんも大変だ

私の先輩に整形外科医のK氏がいます。

そのK氏が言うには・・・

患者さんで非常に困るのが、治癒に時間が必要なのに、「一日で治してくれないか」という患者さんだとか。

「いえいえ、あなたの場合、かくかくしかじかの病気なので、この治療に○日、次にこの治療で△日が必要です」と説明すると、「また、治療を長引かせ、儲けようとして」と怒り、診察室を後にする患者さんもいるとか・・・。

体のある部分、例えば、背中が痛いのは足のケガのせいではないかと原因を勝手に思いこみ、「いえいえ、あなたの場合は、背中の○の部分です」というとやはり、治療も受けずに病院を去っていく患者さんもいるとか・・・。

整形外科以外の原因、例えば、内科関係の痛みで、K氏の病院を訪れる患者さんもいて、その時には、「あなたの痛みの原因は内科だから、内科へ行くように」と指示すると、「なぜ体の痛みなのに、整形外科ではなくて内科なのか」と再質問。

K氏は説明したのですが、その患者さんは、やはり、納得が行かない様子。とにかく、説得して内科へ医への治療を受けさせたそうです。

後日、くだんの患者さんがK氏の病院へ現れ、「すっかり良くなりましたよ。先生てヤブ医者だったんですネ」と嫌みを言われたとか。

ヘルニアのために痛みがひどく、他の病院で痛み止めの注射で痛みを和らげていたある患者さん。

K氏の病院へやってきて、治療を受け、病状が軽くなった頃、K氏が「症状が軽くなったでしょう。また、あの病院へいくのですか」と尋ねた所、その患者さん、「ハイ、行きます」と返答。

理由を尋ねると、「だって、あそこの病院は注射を打つので効果があるんですが、K先生の所は、理学療法だけで効果が感じられないから」と真顔で話されたとか。

ちなみに、その患者さんは、痛みがひどくなるとK氏の病院を訪れるそうです。

注射による治療の話しでは・・・

ある患者さんの治療で、最も効果的で副作用の小さな治療方法を行うために「この注射で一般的には80%の確率で痛みは和らぎますが、20%の確率で痛みが続く場合もあります」と治療方法について説明すると「なぜ、100%の治療はないのですか」と聞いたそうです。

「いえいえ、そのような魔法の治療はありません。もし20%の確率で痛みが続くようでしたら、別の治療方法を考えましょう」と言うと、その患者さんは、ひどく立腹して診察室のいすを蹴飛ばして出て行ったとか。

K氏の話を聞きながらお医者の世界も大変だと感じつつ、患者も原因と結果、そして、確率論を学ぶ必要があることを痛感しました。

早速、大学の講義でこの話をしようと思っています。


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Posted by 宮平栄治 at 21:46│Comments(0)沖縄経済学
 
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