2007年08月29日

第243回 男性喫煙率の都道府県格差

 前々回のコラム(第241回)ではメタボリック診断に補助金が支給されるという記事に関連して、予防医学の観点からは禁煙指導にも医療補助を出した方がよいのではという話しをしました。

 今日は都道府県の喫煙率格差についてです。

 さて、喫煙と疾病の相関関係については、以前にも触れましたが、2007年8月25日(土曜日)の朝日新聞ホームページによれば、男性の喫煙率を都道府県別にみると、もっとも喫煙者の割合が低いのが岐阜県の28%。そして、割合が高いのが香川県の60%だそうです。

 詳細は、次のアドレスをご覧下さい。

 「http://www.asahi.com/life/update/0825/JJT200708250005.html

 もっとも喫煙者の割合が低い岐阜県ともっとも高い香川県の差は、32パーセント・ポイントになります。

 この差を考えてみましょう。良く言われることは、

 「香川県では政策当局や政治家が喫煙率を減らそうという意欲が岐阜県よりも弱い。」

 とか、あるいは、

 「香川県ではたばこ会社や愛煙家団体のような利益団体が禁煙指導を損なうような活動を熱心に展開している」

というような理由がまことしやかに語られています。

 しかし、香川県も岐阜県も同じ日本国内です。厚生労働省等の施策や指導が香川県だけ違っていたり、利益団体の活動が特に熱心ということはありません。したがって、上記の理由でこの差が出たとは考えられません。

 何か別の理由を考えましょう。

 極論的に「香川県はニコチン依存症の男性が多い」というのも非現実的です。

 考えられるその他の理由としては、

 ① 喫煙者が多い会議で、喫煙者から喫煙を勧められる接触回数が多いという社会的圧力の存在。

 ② 社会圧力と類似していますが、アメリカでは、自宅通学が多い大学よりも、大学寮が充実している大学生の方の喫煙率が高いというデータから類推すると、仲間になるための通過儀礼とし喫煙を行うpeer pressureの存在。

 ③ たばこメーカー以外の企業が、喫煙者に便宜を図ることが利益となると考えた場合、会議場やレストラン等で灰皿やマッチなど喫煙しやすい環境になっている。

等が考えられます。

 何はともあれ、実際に比較・検証していないため、いずれの理由も想像の域を超えていません。また、この中の一つがずばり決定的だともいえません。幾つかの要因が重なり合った結果だといえるでしょう。


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Posted by 宮平栄治 at 01:01│Comments(0)沖縄経済学
 
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