2007年09月07日

第245回 事実をつまびらかにするには

 戦後62年も過ぎると、さまざまな局面で関わった人たちから、歴史の記録を残す作業が年々難しくなっています。

 太平洋戦争直前から終戦間際まで大本営陸軍部に配属されていた瀬島龍三氏が9月4日(火)に死去しました。

 新聞各紙やテレビのコメントで、「なぜ日本が悲惨な日米開戦へと至った真相を語らず、事実を墓場まで持って行ってしまった」というコメントが印象的でした。

 その理由として、瀬島氏の場合は職業軍人でしたから、職務上知り得た内容については、終身、守秘しなければならない義務を忠実に守ったためなのか、旧軍関係者に対する世論を気にしたのか、あるいは、我が国には、さまざまな事例を分析、教訓を共有化する意識が希薄だったのか・・・

 今となっては、士官学校と陸軍大学という当時のエリート・コースを歩まれた瀬島氏がどのような考えで、当時を積極的に語らなかったについては今となっては推論するしかありません。

 相変わらずの官民の不祥事を見聞きするたび、我が国は不祥事の関係者が口をつぐんでしまう風潮があるように思えてなりません。

 不祥事の関係者が事実を語った方が、再発防止策や対策を考える上で、重要な情報になります。

 となれば、重要な事案については積極的に事実を語らせるような罰則軽減などのルール設計や不祥事は悪であるが語ったことは名誉であるというような雰囲気醸成も一考でしょう。

 これもある人が語った内容の引用ですが、「歴史は文字や映像などで記録されなければ歴史にならない」ならば、語らせ、記録し、現在は解明できなくても、将来、解明できるようにしなければいけません。

 さもなくば、多くの事案が、関東地方に上陸する台風9号による暴風雨に舞う木の葉の様になってしまいます。


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Posted by 宮平栄治 at 00:54│Comments(0)沖縄経済学
 
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