2007年11月27日

第269回 カンニングペーパー

 気の早い話ですが、大学院生の頃、学期末試験には1週間に渡って学部の試験監督のアルバイトを行いました。

 その時、担当者からの注意は・・・

 「カンニングを見つけるのではなく、抑止し、未然に防ぐこと」でした。

なにせ、カンニング行為が見つかると、その科目のみならず、これまで受けた科目も全て不可となり、また、カンニング発覚以降のテストも受けられないという厳しい学則があったからです。

 ある大学などは、カンニング等の不正行為を見つけた者には報奨金が出るという噂もまことしやかに囁かれていましたが、監督者が張り切りすぎてカンニング行為としても証拠がない場合は、トラブルのモトにもなりますので、担当者も神経を使います。

 さてこの試験監督のアルバイトは、アルバイト料は入るし、また、昼食もあるということで文字通り“美味しい”仕事でしたが、だからといってカンニングには甘い対応を行いませんでした。

 次第に学生さんを見る目も「学生を見たらカンニングをやっていると思え」というような目つきに。その当時はさぞかし顔つきも険しかったのではないかと思っています。

 慣れると手口についても試験監督間で情報交換し合うものですから、カンニング行為も直ぐに分かるものです。そのため、学生からは“チェッカーズ”と揶揄される始末。

 そうなると様々なあまりありがたくないに学生さんにも遭遇してしまいます。その一つは、法学部のテストで、カンニングペーパーを手にした学生を発見。直ちに、没収し、問いただすと、くだんの学生曰く「まだ見ていません」・・・

 法学部の学生ですので「君ね。銃刀法違反という法律と一緒で、カンニングペーパーを持っているだけでダメなんだよ」と諭してあげました。

 きっとその学生は、学問の方角を間違えたのでしょう。

 さて、某前事務次官は、事務次官就任中に還暦祝いを頂いたとか。11月26日の朝刊には一面を踊っていましたが、記事の内容では、1,500万円以上のゴルフ接待やカネを受け取ったが便宜供与はしていないのでいいだろうという主張。

 そもそも、公務員が納入先の業者の接待を受けてはいけないという規定があるのは、接待によって過去には、癒着、賄賂、便宜供与などが横行した反省からなのです。

 便宜供与をしなければ接待を受けてもいいだろうという理屈は、先ほどのカンニングしなければカンニングペーパーを持っていてもいいだろうという学生の思考とどこか似ているように思えてなりません。


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Posted by 宮平栄治 at 06:15│Comments(0)沖縄経済学
 
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