2007年12月03日

第272回 価格上昇に困っている人は・・・

 9月24日の本コラム、第248回「実りの秋に価格引き上げも」で予想していましたように諸物価がジリジリと上昇しています。

 困っているのは消費者ばかりではありません。実は・・・

 生産者や企業も、石油に代表される燃料などの原材料価格の上昇には悩んでいるのです。

その理由は、消費者への配慮、ライバルの動向、価格値上げへの需要の反応、そして代替商品の出現です。

 日本では、バブル経済崩壊後に続いたデフレ下で“価格破壊”という言葉に象徴されるような低価格化にむけた経営革新が次々と起きました。

 100円均一の大創、ユニクロ、しまむら、吉野屋の牛丼などはその代表的経営です。そのため、最近では、食の安全をきっかけに見直しもあるとはいえ、「安い+高品質=当然」だと考えている消費者がまだまだ多数派だと企業側は考えています。

 そんな消費者心理の環境下で、「燃料価格が上昇しました。だから、値上げします。」とはなかなか言えない状況なのです。

 また、ライバル企業の動向も気になります。「もし、ここで安易に価格を引き上げたが、ライバル企業が価格を据え置いたら顧客を一気に奪われるかも」という心理も働きます。

全日空が、燃料高騰を国際線の価格に転嫁しないで値上げ見送ったのもそのような背景があります。ゲーム理論では囚人のジレンマ状態に近い状況です。

 また、価格引き上げ以上に需要が減少しては、それこそ元も子もありません。1%の価格上昇で一体何%需要が減るかも予測しなくてはいけないわけです。

 また、価格を上昇すると代替商品やサービスが出現する可能性もあります。

 こういった理由から、燃料費が、たとえば10円値上がりしたからといって、提供する価格を10円値上がりするというわけにはいかないのです。

 原材料価格や燃料費の値上がりについては、企業側も経営努力によって、できるだけ消費者価格へ転嫁を行わないよう頭を痛めているのです。


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Posted by 宮平栄治 at 01:10│Comments(2)沖縄経済学
この記事へのコメント
タイでは、この5年でガソリン代が2倍になりました。
15バーツ→30バーツ

これは、レートで換算すると45円→90円なのですが、、、
タイ人の感覚的には、150円→300円です。

即席めんの大手もとうとう来月から値上げします。

こちらとしては、半年の周期で航空燃料代があがっていくので、商売上がったりです。。。

ツアー代もとうとう、来月から値上げしないといけなくなりました。

かといって、給料はずーーーっと、据え置きです。

ファンドのマネーゲームに、世界中の人が、、振り回されていますね。。
Posted by chang at CNX at 2007年12月04日 03:06
こんばんは。
ガソリンの高騰が止まりませんね。。。
数年前の乱売が懐かしい今日この頃です。。。
Posted by konakona at 2007年12月09日 20:27
 
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