2008年11月03日

第343回 中国、農村政策転換

 2008年10月20日(月)の『沖縄タイムス』紙第6面と『琉球新報』の第5面に中国の経済政策転換に関する記事が掲載されていました。

 その記事タイトルは・・・

 「中国共産党 農地使用権売買認める」です。

 内容は、農民に対し、農地使用権の売買を認め、農地をまとめることで規模の経済性を発揮させ、農業生産性を高めることで農村の所得をアップさせる狙いがあります。

 背景には、都市部との農村部の所得格差拡大という社会問題があります。

 中国の国土960万平方キロメートルで日本の37.8万平方キロメートルと比較すると約25倍広い国土です。

 数値だけでは中国には無限の農地があるかのように思われますが、農業適地は約95万平方キロメートル(約9,500万ヘクタール)ですから、中国の国土の約10分の1です。

 残りの10分の9の土地は砂漠や山脈などの農業には不向きな土地です。

 国土の約10分の1の農業適地にどれくらいの農民が農業に従事しているかというと約4億6,000万人だということです。

 農業適地に必要な労働力を中国の友人に尋ねたところでは約2億人。

 残りの2億6,000万人は、移動制限や社会保障などで農村部にとどまっている労働力です。経済学では偽装失業状態ともいいます。

 さて、今回の中国の方針転換では、農地に縛られていた農民、特に都市に定着した農民の戸籍変更を認めるといった措置も同時に認められてそうです。

 この農地使用権の売買によって農地を手放した農民が都市の受入許容量を超えて流入した場合には都市では過密の問題が、農村では人手不足の事態も考えられます。

 この政策転換が今後の中国社会にどのような影響を与えるかについては注意深く見守る必要があります。


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Posted by 宮平栄治 at 23:09│Comments(0)沖縄経済学
 
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