2004年10月08日
第10回:プロ野球を経済学で考えるPart3
-契約金の謎-
今週、メジャーリーグでは、イチロー選手が1日(日本時間2日)に安打を放ち、1920年にジョージ・シスラー(ブラウンズ)が作った257安打を84年ぶりに記録を塗り替え、視聴率も放送時間帯にしては高視聴率だったようで盛り上がった週の初めになりました。
さて、両リーグの覇者同士による今年の一位を決定する、アメリカでのワールド・シリーズや日本シリーズが終了すると、プロ野球ファンの興味は、今年のドラフト会議に移ります。
ドラフト制度とは、プロ球団が新人を獲得する場合、あらかじめ選択会議(ドラフト会議)で、希望する選手との交渉権を得てから交渉・契約する制度です。そもそもドラフト制度とは、年々高騰化する選手の契約金の抑制を目指して1965年に第1回目が開催されました。しかし、制度の趣旨とは裏腹に、選手の契約金は上昇し、また、有力な選手に対しては、選手から球団を示してもらう逆指名を核とするために、“栄養代”と称して入団前から金銭を与え、青田買いが行われているのが実情です。
では、なぜ、プロ野球で十分成果が期待されるとはいえ、入団前で実績のない選手に多額の契約金が支払われるのでしょうか。その理由は、プロ野球を経済学で考えるPart1で述べたように、賃金を獲得する期間が短期間で、また、ケガなどによって選手生命が終わってしまうという将来不安を抱えた選手にとっては、契約金という前払い方式の退職金は非常に魅力的です。この選手と球団の行動を経済学の世界では、「暗黙の契約理論」といいます。しかし、契約金があまりにも高額になりすぎると、契約金だけで選手は期待する生涯所得を獲得してしまい、入団後、球団が期待した活躍を成し遂げない場合もあるでしょう。やはり、インセンティブ契約も必要なのです。
もう一つの側面、「経済心理学」では、経済学の世界では、人々を合理的であると考えてきましたが、実際に人々の経済活動を観察すると、何かを得ようとする際には確実性を重視しますが、失うときには確率などの合理的数字を無視して目の前の金額につられてしまうという傾向があります。
「暗黙の契約理論」にせよ、「経済心理学」では、契約金上昇の歯止めになる答えを導きだしていません。契約金の上昇を抑制するためには、引退後の就職先を充実させ、将来の不安を取り除く事や、将来活躍が期待できる選手発掘のためのスカウト数を増やしたり、スカウトの目を確かにして、契約金が低くても期待年俸の確実性を高めるなどの方策が必要だと思われますが、プロ野球ファンの読者の皆さんはどう思われますか?
今週、メジャーリーグでは、イチロー選手が1日(日本時間2日)に安打を放ち、1920年にジョージ・シスラー(ブラウンズ)が作った257安打を84年ぶりに記録を塗り替え、視聴率も放送時間帯にしては高視聴率だったようで盛り上がった週の初めになりました。
さて、両リーグの覇者同士による今年の一位を決定する、アメリカでのワールド・シリーズや日本シリーズが終了すると、プロ野球ファンの興味は、今年のドラフト会議に移ります。
ドラフト制度とは、プロ球団が新人を獲得する場合、あらかじめ選択会議(ドラフト会議)で、希望する選手との交渉権を得てから交渉・契約する制度です。そもそもドラフト制度とは、年々高騰化する選手の契約金の抑制を目指して1965年に第1回目が開催されました。しかし、制度の趣旨とは裏腹に、選手の契約金は上昇し、また、有力な選手に対しては、選手から球団を示してもらう逆指名を核とするために、“栄養代”と称して入団前から金銭を与え、青田買いが行われているのが実情です。
では、なぜ、プロ野球で十分成果が期待されるとはいえ、入団前で実績のない選手に多額の契約金が支払われるのでしょうか。その理由は、プロ野球を経済学で考えるPart1で述べたように、賃金を獲得する期間が短期間で、また、ケガなどによって選手生命が終わってしまうという将来不安を抱えた選手にとっては、契約金という前払い方式の退職金は非常に魅力的です。この選手と球団の行動を経済学の世界では、「暗黙の契約理論」といいます。しかし、契約金があまりにも高額になりすぎると、契約金だけで選手は期待する生涯所得を獲得してしまい、入団後、球団が期待した活躍を成し遂げない場合もあるでしょう。やはり、インセンティブ契約も必要なのです。
もう一つの側面、「経済心理学」では、経済学の世界では、人々を合理的であると考えてきましたが、実際に人々の経済活動を観察すると、何かを得ようとする際には確実性を重視しますが、失うときには確率などの合理的数字を無視して目の前の金額につられてしまうという傾向があります。
「暗黙の契約理論」にせよ、「経済心理学」では、契約金上昇の歯止めになる答えを導きだしていません。契約金の上昇を抑制するためには、引退後の就職先を充実させ、将来の不安を取り除く事や、将来活躍が期待できる選手発掘のためのスカウト数を増やしたり、スカウトの目を確かにして、契約金が低くても期待年俸の確実性を高めるなどの方策が必要だと思われますが、プロ野球ファンの読者の皆さんはどう思われますか?
Posted by 宮平栄治 at 00:00│Comments(0)
│沖縄経済学