2004年11月12日
第14回:政治の季節から経済の季節へ
今年は、気象観測が開始されて以来、台風、地震など自然災害の多い夏と秋でした。被害に遭われた方にお見舞いを申し上げます。また、犠牲となられた方に哀悼の意を捧げます。
被災された方々の苦労に比べると、私のコンピュータが光学式マウスのドライバーの不具合で、ハードディスクが不調となり、データが消失してしまったことや、長年愛用していたデジタル・カメラが壊れるなどは些細な出来事なような気がします。
さて、今週は、いよいよアメリカの大統領選挙が行われます。次の大統領の経済政策については、2月の大統領年次報告書で明らかになりますが、春夏秋冬と同じで、政治の季節から経済の季節へと社会も衣替えの季節へと移り変わります。
選挙の年は、政治家は自分が不利となる経済政策は行わず、有権者の支持を得られやすい減税などの政策が目白押しでしたが、選挙後は、否が応でもさまざまな課題に取り組まなければなりません。たとえば、直近では、原油価格が最高値を更新し、インフレ意識や節約意識が高まれば、消費が減少する可能性もあります。また、アメリカのクリスマス商戦次第ではアメリカ経済の雲行きが怪しくなりかねません。
我が国でも、たとえば、グリーンボール一玉が500円を超えるなど、今年の台風の影響で葉野菜類が高値で推移し、私たちの暮らしや先行感に陰を落としそうです。振り返ってみますと、葉野菜類を中心に高値で推移し、人々が財布の紐を急にきつくしたため、景気が急速に悪化した例がありました。それは、バブル経済がまさにピークを迎えた1989年です。その年は長雨で葉野菜類の高値が家計を直撃しました。
当時、私は大学院に在学中で、慶應義塾大学に在学している後輩に誘われ、三田祭へ出向く山手線の車中で、確か『サンデー毎日』のつり広告だった記憶しているのですが、「ネギ一本200円で鍋が食えるか」という見出しが踊っていました。それを見て、同じ大学院生仲間に、「人々の価格意識が敏感になり、高価な商品が売れなくなる可能性がある」と語ったことを覚えています。
1986年に始まるバブル経済では、株や地価が上昇し続けて、その値上がり益の恩恵を享受してため、株や地価以外のモノでも高価なことがいいことかのような雰囲気がありました。その後、バブルは崩壊し、高価な野菜の緊急避難として中国から安い野菜が輸入されたことを契機に、日本経済では“価格破壊”という言葉がキーワードとなったことは、読者の皆様もご存じと思います。バブル経済の崩壊は、「ネギ一本200円で鍋が食えるか」いう見出しで始まったといえるかもしれません。
今回の台風による葉野菜類の高値や原油の高騰が、日本経済にどのような影響をもたらすかは、バブル期と比べ、人々の消費意識、流通機構などに相違がありますので、単純比較できません。しかし、日本の景気にようやく薄日が差してきただけに非常に気がかりです。また、景気に陰りが生じたならば、三位一体の改革による地方への補助金削減に加え、税収の落ち込みにつながり、財政赤字が拡大し、地方自治体単独では再建が困難になる財政再建団体の増加、生活に直接関連する地方公共サービスの一層の見直しなどにつながりかねません。
アメリカではクリスマス商戦、我が国ではお歳暮商戦の行方を注視したいと思っています。
被災された方々の苦労に比べると、私のコンピュータが光学式マウスのドライバーの不具合で、ハードディスクが不調となり、データが消失してしまったことや、長年愛用していたデジタル・カメラが壊れるなどは些細な出来事なような気がします。
さて、今週は、いよいよアメリカの大統領選挙が行われます。次の大統領の経済政策については、2月の大統領年次報告書で明らかになりますが、春夏秋冬と同じで、政治の季節から経済の季節へと社会も衣替えの季節へと移り変わります。
選挙の年は、政治家は自分が不利となる経済政策は行わず、有権者の支持を得られやすい減税などの政策が目白押しでしたが、選挙後は、否が応でもさまざまな課題に取り組まなければなりません。たとえば、直近では、原油価格が最高値を更新し、インフレ意識や節約意識が高まれば、消費が減少する可能性もあります。また、アメリカのクリスマス商戦次第ではアメリカ経済の雲行きが怪しくなりかねません。
我が国でも、たとえば、グリーンボール一玉が500円を超えるなど、今年の台風の影響で葉野菜類が高値で推移し、私たちの暮らしや先行感に陰を落としそうです。振り返ってみますと、葉野菜類を中心に高値で推移し、人々が財布の紐を急にきつくしたため、景気が急速に悪化した例がありました。それは、バブル経済がまさにピークを迎えた1989年です。その年は長雨で葉野菜類の高値が家計を直撃しました。
当時、私は大学院に在学中で、慶應義塾大学に在学している後輩に誘われ、三田祭へ出向く山手線の車中で、確か『サンデー毎日』のつり広告だった記憶しているのですが、「ネギ一本200円で鍋が食えるか」という見出しが踊っていました。それを見て、同じ大学院生仲間に、「人々の価格意識が敏感になり、高価な商品が売れなくなる可能性がある」と語ったことを覚えています。
1986年に始まるバブル経済では、株や地価が上昇し続けて、その値上がり益の恩恵を享受してため、株や地価以外のモノでも高価なことがいいことかのような雰囲気がありました。その後、バブルは崩壊し、高価な野菜の緊急避難として中国から安い野菜が輸入されたことを契機に、日本経済では“価格破壊”という言葉がキーワードとなったことは、読者の皆様もご存じと思います。バブル経済の崩壊は、「ネギ一本200円で鍋が食えるか」いう見出しで始まったといえるかもしれません。
今回の台風による葉野菜類の高値や原油の高騰が、日本経済にどのような影響をもたらすかは、バブル期と比べ、人々の消費意識、流通機構などに相違がありますので、単純比較できません。しかし、日本の景気にようやく薄日が差してきただけに非常に気がかりです。また、景気に陰りが生じたならば、三位一体の改革による地方への補助金削減に加え、税収の落ち込みにつながり、財政赤字が拡大し、地方自治体単独では再建が困難になる財政再建団体の増加、生活に直接関連する地方公共サービスの一層の見直しなどにつながりかねません。
アメリカではクリスマス商戦、我が国ではお歳暮商戦の行方を注視したいと思っています。
Posted by 宮平栄治 at 00:00│Comments(0)
│沖縄経済学