2005年02月04日

第25回:情熱と愉快な発想が人々を魅了するアイディアを

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 先週のコラムでは、セーラ・マリ・カミングスさんをConcept Createrと位置づけ、まちづくりや企業経営において重要な役割を担う点を指摘しました。今日は、その意味内容を考えてみましょう。

 私たちは何らかの情報から意味内容を判断し行動しますが、認知科学では、私たちは情報を白紙の状態で見るのではなく、これまでの経験や知識を用いて課題を理解していると考えています。

 すなわち常に何らかの考えの枠組み(スキーマ)をもっており、外から入ってきた情報をその考えの枠組みで理解しているのです。たとえば、血液型で性格が決定されるということを信じている人がある人の行動から性格を判断する際、「A型は~だ」という枠組みでその人の行動を観察し、理解し、結論を下しています。私達のこの「○○をするとこうなる」という思考パターンを「表象モデル(=mental models)」と呼びます。

 余談ですが、血液型には分かっているだけでも100種類以上ありますので、ABO型のみで性格を判断することはできません。また、血液型で性格を判断するという起源は旧日本軍が強い軍隊組織を作る際、血液型別の部隊編成を試験的に行ったというのがはじまりだとか。しかし、「B型って気分屋さんネ」と言われ続けると、自己暗示によって言われ続けられた性格が以前よりも強くなる傾向も否定はできませんが・・・。

 セーラ・マリ・カミングスさんは、まさに表象モデルづくりの達人といえる存在なのです。また、セーラさんの魅力は、表象モデル形成において、常に明るく、前向きな表象モデルを創造するので、人々を魅了しますし、また、将来の進むべき方向とほんの少し努力すれば達成可能な明るい未来が築けることを洒落っ気たっぷり言葉、これをヴィジョンといいますが、ヴィジョンによって進むべき未来と努力の方向性を照らし、指し示すので人々は不確実な未来へも一歩足を踏み出すことができるのです。

 さて、表象モデルができれば上手くいくとは限りません。ある情報が与えられ、表象モデルによって状況を判断し、ある結論を下し、例えば、進む、退く、待機する、無視する、黙殺する等を行い、結果が出てきます。その結果にどのように向き合うかが重要です。

 もし、結果に対して何らの評価を下さいなければ、この人の学習は、「シングルループ的学習」と呼ばれます。つまり、結果の根本である表象モデルを金科玉条のごとく扱うようなもので結果を受けて何らかの修正がなされないため何度でも同じような失敗を繰り返す組織となってします。

 「シングルループ的学習」に対して結果を受け、表象モデルを修正する学習方法を「ダブルループ的学習」と呼びます。表象モデルの形成ができましたら、次は、「ダブルループ的学習」を心がけてください。

 一昨年の夏に、マサチューセッツ州にあるマサチューセッツ工科大学の経営系の大学院を訪問した際、トヨタやソニーなど世界中の一流企業から将来のコア人材が学んでいましたが、その人達は「マルチ・ループ的学習」を研究していました。


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Posted by 宮平栄治 at 00:00│Comments(0)沖縄経済学
 
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