2005年04月01日

第33回:「地理的な有利・不利とは誰が決めるのだろうか?」

 沖縄県経済が一人当たり県民所得の全国水準から比較して最下位である理由を語る際、沖縄の島嶼性や市場との距離という不利さがまことしやかに論じられています。

 しかし、おなじような島嶼地域で、また、活火山地帯であるハワイについては、リゾート地としても、さらに火山および地震研究においても世界一という冠を付すことについて異存を唱える人はいないと思われます。

 隔絶した地域であるがゆえに都会の喧騒から離れ、心身ともにリフレッシュでき、ゆったりとした気分が味わえるリゾートとして最適地ともいえると思います。また、いつ噴火が起こるかわからない活火山を調査することで火山と地震研究が確立できたのです。

 情報化社会において、データを一箇所に集約することは、卵を一つのかごに入れて運ぶのに等しい危うさを帯びます。仮に、その地域が地震でデータが破壊されてしまったならばシステムが稼動しなくなるからです。そのため、顧客情報など多量の情報データを必要とする企業においては、データを二箇所以上に分散し、一方のデータが破壊されたとしてももう一箇所でバックアップしたデータを用いてシステムの維持を図っています。

 3月28日の『日本経済新聞』のホームページの地域経済欄では、沖縄県でも地震の少ない地理的特性を活かして、企業情報をバックアップする「ディザスターリカバリー:Disaster Discovery」を県内に構築する計画を進めていることを伝えています。

 また、春が待ち遠しい2月、県外では杉花粉が飛散し、杉花粉症の人にとっては憂鬱な1月となりますが、沖縄県には杉の木が少ないため、花粉症の人にとって“避杉花粉地”として脚光を浴びています。

 避杉花粉地として欠かせない安価な宿泊施設、交通網としてウィークリー・マンションやマンスリー・マンション、カーナビ付きレンタカーも見逃せません。インターネットや専門誌で上手に情報発信を行えば、カーナビに住所をインプットすれば目的地まで間違いなくたどり着けます。ちなみに、この適切な情報発信とカーナビに誘導されてやってくる顧客との関係を『ナビーで来い』の関係といいます・・・?

 目の前で、両手を勢いよく合わせ、“パッシッ”と音を出し、『どっちの手が鳴った』という禅問答ではありませんが、結局は地理的な有利・不利というのは私たちの考え方と克服に向けての努力、そして、その成果のプロモーション次第といえるでしょう。


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Posted by 宮平栄治 at 12:48│Comments(0)沖縄経済学
 
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