2005年04月22日

第36回「“まち”の魅力を測定する」

東京商工会議所が、2005年度4月から商店街の「魅力」を①アメニティー機能、②公共機能、および③商業機能から各商店街の達成度について5段階の相対評価を行います。目的は、①商店街の競争意識を昂揚、②再生への取組促進、および③努力項目の明確化による優先順位の設定と“まち”の資源の有効活用というということです(詳細は、東京商工会議所地域振興部まちづくり担当、電話は03-3283-7624、FAX03-3283-7633へお問い合わせ下さい)。

各機能を詳しく見ますと、“アメニティー機能”では、①店舗の連続性、②建物・看板の形状、意匠などの調和度、③街路樹・植裁帯の整備と管理、④道路や歩道のデザイン、⑤バリアフリーの度合い、⑥憩いの空間、ベンチなどの設置状況、⑦ゴミの散乱状況、⑧平日夕方、休日中間のにぎわい状況、⑨接客・もてなしの魅力、というように“まち”のソフト面が中心となっています。この基準だと、「店舗の植裁帯にゴミが落ちていても掃除をしない」、「錆だらけの看板が目に付く」、「お客が店舗の前を素通りしても声さえかけない」というような商店街は落第点になります。また、世界第2位の小売業であるフランスのカルフールが日本から撤退した理由の一つとして「接客・もてなしの魅力」が相対的に低かったことも考えれば、見落としがちな項目といえるでしょう。

“公共機能”では、①パトロールなどの防犯活動の有無、②子育て支援、高齢者支援の有無、③リサイクル活動の有無、というように商店街の周辺に暮らす人々の生活に商店街との関わり方や生活の一部にどの程度なり得ているのかという点を重視していることが分かります。

“商業機能”では、①歴史、工芸、名物などを活かした商業、②飲食、ファッション、アートなど独自の魅力、③休日や夜の営業状況、という項目が列挙されています。つまり、商店街は古くからその“まち”で人々の消費生活を支えていた歴史があるわけですから、その価値を再認識するのと同時に、人々のライフスタイルの変化に応じた新しい魅力が必要だということを強調しています。沖縄でも“シャッター街”と揶揄されるような一部の商店街には、「土日に店が閉まっている」、「夕方になると閉店」というような商店街も少なくありません。そうなるとやはり“赤点”を頂くことになります。

また、“まち”の魅力を測定するその他の手法として、魅力ある“まち”へ旅行したと仮定してその際の旅行費用をもとに“まち”の魅力を測定するトラベルコスト法があります。たとえば、多くの人がパリを憧れるのはこの手法で測定できます。さらに、“まち”の存在が地代や地代や賃金に与える影響から評価するヘッドニック法などもあります。

いずれの評価とも“相対的評価”ですので、ある理想的な“まち”を念頭において「まちづくり」が行われることになりますので、基準となる“まち”の変化や人々の意識・生活様式・消費行動によって評価が変わる可能性もありますが、商店街の活性化や「まちづくり」の指針と目的が明確になりますから、さらによりよい商店街や「まちづくり」を検討している地域の皆さんも参考にしてみてはいかがでしょうか。同時に、沖縄県も目標となるような、あるいは、パリのように憧れとなるような地域作りと創造にむけてのさらなる努力を東京商工会議所の「商店街格付け」は示唆しているように感じます。


同じカテゴリー(沖縄経済学)の記事
仙台で考えたこと
仙台で考えたこと(2012-09-09 20:16)

マニュアル人間
マニュアル人間(2012-07-16 06:05)

地酒購入断念
地酒購入断念(2011-12-11 18:27)


Posted by 宮平栄治 at 08:34│Comments(1)沖縄経済学
この記事へのコメント
外から評価するよりも、売り場に立ってみたら?
どれだけ必死か?どれだけ人見て商売してるか。どうも売り場に立場でない売れても売れなくても関係のない人たちの相対的な意見にすぎないな。今のワラバータームル人見てもコンニチハーもできない人間が多すぎる。ウチナンチュって人懐っこいのが売りだはずなにのにな~。ひとついえるのは、例えば「次男大城さんよ。ヤッタ-オカー元気やみ?」みたいな声かけあいさつがもっと必要。特にウチナンチュは!声かけなしに商売うまくいくわけないだろ!
Posted by 仲村 at 2005年04月26日 10:42
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。