2005年07月08日

第46回「身近な活性化資源」

6月1日に、沖縄市の中央パークアベニュー商店街が“CPAニュース”の創刊号を発刊。中央パークアベニューの新たな魅力づくりを紙媒体による紹介と情報発信を手始めに、インターネットによる情報発信を行いながら、集客戦略を展開しています。また、7月1日に旧桜坂シネコン琉映施設を活用した「桜坂劇場」のこけら落としがありました。いずれもかつては横のデパートといわれた中心商店街を再活性化させる事業として注目されています。

日本全国で多くの中心市街地が衰退や、活力を失いかけた理由として、かつては自宅から徒歩や自転車で最寄り品を購入していましたがモータリゼーションの進展によって郊外まで移動が可能となったこと、一通り必要な商品が身の回りに存在すると消費者ニーズの多様化し、またモータリゼーションによって行動範囲が広域化したこと、郊外型大型店舗の相次ぐ開店、人々の中心商店街への関心の低さ、そして、商店街の努力不足や後継者難などが指摘できます。さらに、中心市街地から郊外へと食・遊・学機能の移動が、衰退の加速度を早めたといってもよいでしょう。

だからといって、商店街や中心市街地の関係者がその必要性を訴えても、競争の結果、衰退した地域に税金を投入することである特定地域だけを優遇することは、国民から支持を得られないでしょう。活性化のためには地域全体における中心市街地の機能と役割、そして地域の資源としての中心市街地を社会全体で再評価し、地権者、建物の所有者、そして商業者が魅力を高めるために努力することが必要です。

さて、私と関わりが深い中央パークアベニューの場合、着目したいのは中央パークアベニューの地域資源です。それは、ソフトにおいては、“ニューヨークレストラン”や“チャーリー多幸寿”などの老舗の存在し、そのため熱烈な固定客がいて、通り会自体にある程度の集街力を持っていました。つまり、その人々が街の変化をあちらこちらに伝えたり、新店舗が開店するための有力な経済資源となりうるのです。また、老舗の存在は、事業主に二世や三世がいるということを意味します。二世や三世の方々は、通りの将来を憂い、そして、課題を共有化し、夢を語ることで「街を何とかしよう」という情熱が生まれ、それらの人々が核となって、通りの再活性化に取り組めます。加えて、通り会には地元の中学・高校出身者が多いため、結束のしやすい雰囲気が醸し出されています。例えば、二代続く“源河医院”の源河茂先生には 事あるごとに通り会への行事へ参加して頂き、“我が街のお医者さま”というように街の人々の健康を守ることで地域に不可欠な安心という役割を担って頂いています。ハード面としては、歩道部分は広く、緑に覆われているため歩道部分を利用したオープン・カフェなどの新たな統一された演出によって街の魅力をさらに高めることができます。

中央パークアベニューの場合、昨年の年末からはじまった活性化はまだまだ始まったばかりですが、かつては空き店舗だった所へ新規開店が相次いでいます。

魅力を失った中心商店街や中心市街地の活性化のためには、まず、現在ある地域資源の洗い出しと、その周辺部に暮らす人々の交流拠点の場としての機能を考えてみてはいかがでしょうか。そのためには、地権者、建物の所有者が課題、夢の共有化と努力とともに、商店街や中心市街地に存在する私たちの暮らしに不可欠な様々な機能を再評価することが必要だと考えます。


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Posted by 宮平栄治 at 11:16│Comments(0)沖縄経済学
 
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