2005年11月03日
第81回 「地域ブランドには顔、基準、安心、情報発信が必要」
前回に引き続き、野口正幸氏(株式会社伊勢丹統括部食品営業部営業商品担当マネージャー)の講演、「物産展から見る沖縄県産品の現状とブランド形成にむけた課題と施策―都心百貨店の視点から―」について、私なりの考えをまとめてみましたのでご報告致します。
野口氏の講演内容は、(1)顔、(2)基準、(3)安心、(4)情報発信という4つのキーワードでまとめさせて頂きます。
野口氏の講演内容は、(1)顔、(2)基準、(3)安心、(4)情報発信という4つのキーワードでまとめさせて頂きます。
顔
顔とは、作り手の顔、消費者の顔という意味です。しかし、これだと当たり前すぎて面白くありませんので、さらに内容を深めましょう。
消費者の顔とは、生産者は、消費者の顔をいつも思い浮かべ、どのような社会階層の人が、どのような時に、どのような数量で、どのようなタイミングで買って頂いているのかを想像しながら生産するという意味です。さらに言えば、消費者の生活のどの場面において、自社で生産された商品が役立っているのかを想像し、そこからどのような商品作りが必要なのかを演繹することや感情移入ということを意味します。
生産者の顔とは、消費者が、どのような生産者が、手元の商品をどんな思い込めながら、生産し、そして商品のデザイン、ロゴや包装を行ったのかを常に意識し、消費者がイメージできるように工夫するということです。
いずれも、生産者が意識しなければいけない内容になっています。なぜなら、消費者には良い商品を、適正価格で、正しい情報で、適宜、安全・安心に購入できるという選択権が与えられているからです。
基準
ここで述べられている基準とは、野口氏の講演における「商品を第3者が評価する仕組」という言葉と対応します。
基準が設けられることによってどのような効果があるかといえば、平均的消費者を定義づけできるわけです。そうなると、消費の多様化の時代においては、基準から多様化した消費者の好みが拡散しているかが分かるわけですから、味、風味、喉ごしなどを微妙に調整することで対応が可能ということです。
たとえば、泡盛と日本酒やワインを比較してみましょう。泡盛には度数表示がありますが、日本酒やワインのように香り、酸味、甘辛、風味、口当たりなどの表示がありません。そのため、初心者は何を基準に選択して良いのか判断に迷ってしまいます。
また、この季節、そろそろ鍋料理がおいしい季節です。その時、日本酒やワインですと、海鮮鍋にはすっきり系の日本酒やワインがあう、というように料理と共に需要が増えるわけですが、泡盛の場合、どのような料理とマッチングさせるかが難しく、その分、販路拡大の機会をのがしているともいえるわけです。
安心
ブランドの機能の一つとして、安心という機能があります。また、この言葉は、野口氏の(1)品評会や受賞会の実施と促進、(2)有名専門家による評価商品の発掘、(3)TV局での対決系番組によるPR、(4)実力販売員、あるいは(5)有名店と有名店とのコラボレーションなどと対応しています。
先述のように消費の多様化によって、さまざまな商品が溢れています。いわゆる情報過多の状態です。そうなると、商品知識が生産者や小売店関係者より希薄な消費者にとっては、一種のパニック状態となります。そんな時に、いわゆる“お墨付き”があれば、消費者は迷うことなく安心して購入できるというわけです。
ですから、上記の手法以外に、安心感を醸し出すさまざまな販売方法がまだまだあるわけです。自社でも安心感を盤石なものとしたり、高めたりする手法、しかも他社が模倣できない方法を創造できれば、他社との競争は有利になります。
情報発信
情報発信については、本コラムでも“エコー効果”というネーミングでご紹介しました。消費者が購入する原因を
実際の購入=意欲×価格×品質×量×情報×タイミング×その他
というように、かけ算の形にすると分かりやすいと思われます。つまり、いくら良い商品であっても、情報を発信し、存在を認めてもらえないと消費者は購入することはできません。上の式では、情報=0となると実際の購入が行われないことになります。
また、下手な鉄砲も数打ちゃ当たる方式で、情報を発信するとコストもかかりますし、間が悪いとジャンク・メールにようにゴミ箱行きとなります。ですから、顧客の購買データを解析し、ジャスト・タイミングで情報を発信することが必要なのです。
まだまだ研究の余地がありますので、先進事例等を加味しながら読者の皆様と考えてみたいと思います。
顔とは、作り手の顔、消費者の顔という意味です。しかし、これだと当たり前すぎて面白くありませんので、さらに内容を深めましょう。
消費者の顔とは、生産者は、消費者の顔をいつも思い浮かべ、どのような社会階層の人が、どのような時に、どのような数量で、どのようなタイミングで買って頂いているのかを想像しながら生産するという意味です。さらに言えば、消費者の生活のどの場面において、自社で生産された商品が役立っているのかを想像し、そこからどのような商品作りが必要なのかを演繹することや感情移入ということを意味します。
生産者の顔とは、消費者が、どのような生産者が、手元の商品をどんな思い込めながら、生産し、そして商品のデザイン、ロゴや包装を行ったのかを常に意識し、消費者がイメージできるように工夫するということです。
いずれも、生産者が意識しなければいけない内容になっています。なぜなら、消費者には良い商品を、適正価格で、正しい情報で、適宜、安全・安心に購入できるという選択権が与えられているからです。
基準
ここで述べられている基準とは、野口氏の講演における「商品を第3者が評価する仕組」という言葉と対応します。
基準が設けられることによってどのような効果があるかといえば、平均的消費者を定義づけできるわけです。そうなると、消費の多様化の時代においては、基準から多様化した消費者の好みが拡散しているかが分かるわけですから、味、風味、喉ごしなどを微妙に調整することで対応が可能ということです。
たとえば、泡盛と日本酒やワインを比較してみましょう。泡盛には度数表示がありますが、日本酒やワインのように香り、酸味、甘辛、風味、口当たりなどの表示がありません。そのため、初心者は何を基準に選択して良いのか判断に迷ってしまいます。
また、この季節、そろそろ鍋料理がおいしい季節です。その時、日本酒やワインですと、海鮮鍋にはすっきり系の日本酒やワインがあう、というように料理と共に需要が増えるわけですが、泡盛の場合、どのような料理とマッチングさせるかが難しく、その分、販路拡大の機会をのがしているともいえるわけです。
安心
ブランドの機能の一つとして、安心という機能があります。また、この言葉は、野口氏の(1)品評会や受賞会の実施と促進、(2)有名専門家による評価商品の発掘、(3)TV局での対決系番組によるPR、(4)実力販売員、あるいは(5)有名店と有名店とのコラボレーションなどと対応しています。
先述のように消費の多様化によって、さまざまな商品が溢れています。いわゆる情報過多の状態です。そうなると、商品知識が生産者や小売店関係者より希薄な消費者にとっては、一種のパニック状態となります。そんな時に、いわゆる“お墨付き”があれば、消費者は迷うことなく安心して購入できるというわけです。
ですから、上記の手法以外に、安心感を醸し出すさまざまな販売方法がまだまだあるわけです。自社でも安心感を盤石なものとしたり、高めたりする手法、しかも他社が模倣できない方法を創造できれば、他社との競争は有利になります。
情報発信
情報発信については、本コラムでも“エコー効果”というネーミングでご紹介しました。消費者が購入する原因を
実際の購入=意欲×価格×品質×量×情報×タイミング×その他
というように、かけ算の形にすると分かりやすいと思われます。つまり、いくら良い商品であっても、情報を発信し、存在を認めてもらえないと消費者は購入することはできません。上の式では、情報=0となると実際の購入が行われないことになります。
また、下手な鉄砲も数打ちゃ当たる方式で、情報を発信するとコストもかかりますし、間が悪いとジャンク・メールにようにゴミ箱行きとなります。ですから、顧客の購買データを解析し、ジャスト・タイミングで情報を発信することが必要なのです。
まだまだ研究の余地がありますので、先進事例等を加味しながら読者の皆様と考えてみたいと思います。
Posted by 宮平栄治 at 18:19│Comments(0)
│沖縄経済学