2006年01月05日

第101回 「沖縄のオンリー・“わん”資源」

皆様、明けましておめでとうございます。皆様と皆様のご家族、そして、関係者の方々にとって本年も健康で、幸多きことを祈念致します。私にとって、今日がこのコラムのコーナーの仕事始めです。どうぞ、今年もよろしくお願い致します。

といっても、昨日までは、遊んでいたわけではありません。晦日から元日までは、学生の卒業論文の校正を、1月2日から昨日4日までは私とプロデューサー島田さんが関連する沖縄県雇用開発推進機構の『雇用白書』を執筆していたのです。

私は書き終え、昨日、提出し終えました。島田さんはまだの様ですネ。ちなみに、締め切りは1月10日です。

さて、今年は戌年です。そこで、本日は、干支の“わん子”にちなんで沖縄のオンリー・“わん”資源をあれこれ考えて見ましょう。

企業のあり方は、利潤最大化、株価最大化、経営者の効用最大化、従業員の効用最大化や共同利益最大化などの起業目的、動機、さらには経営者の資質で変わりますが、競争に打ち勝ち、継続し、発展するという点ではいずれの企業も共通していると思います。

継続するためには、さまざまな手段があります。例えば、研究開発、新商品開発などのノベーション、特許、ブランド化、低価格戦略、従業員の士気などですが、他の企業にないオンリー・ワンの資源を保有する事も競争を優位にすすめる経営資源であるといわれています。

郵政民営化を行政改革の本丸と位置付け、昨年の衆議院選挙で大勝した小泉政権は、国債シンジケート団を今年度限りでの廃止、政府予算の縮小など行財政改革を本格化すると予想されます。そうなると、地方は必要な行政サービスを提供するための資金、つまり税収を中央政府に頼ることなく自前での集めなければならなくなります。

税を生み出すのは、公務員ではありません。個人と企業の経済活動です。また、企業が、他の地方に負けない優れた財やサービスを生み出す源は、他の地方よりも多く存在する優れた経営資源、例えば、ゴーヤーなどのなどを活かした産物であると考えられるわけです。


つまり、地方のオンリー・ワンの資源を発見するか、また、どのように活かすことができるかが今後の沖縄経済の動向を左右するといってもよいでしょう。実は沖縄には、オンリー・ワンの資源が数多く存在します。

文化面では、以前にもご紹介しました空手、その他にも組踊り、琉球舞踊と音楽、民謡、民話、島言葉などなど。

自然環境では、沖縄環境経済研究所社長の上原辰夫氏の指摘によれば、鳥類では、国内で確認されている鳥の種のうち、沖縄で確認できる割合の約75%、爬虫類の種数では、全国で82種類確認できますが、これが琉球列島(奄美大島から沖縄)で82種の約7割、56種がこの琉球列島で確認できます。しかも、この56種のうちの43種は琉球列島固有種、つまり世界でも沖縄だけでしか見ることができません。

また、カエルは国内で確認されている39種のうち17種が琉球列島で確認でき、その中の13種は琉球列島固有種で、これも世界で琉球列島のみでしか見ることできないのです。

その他にも、哺乳類、爬虫類、淡水魚類、甲殻類、昆虫類、陸・淡水産貝類、種子植物、シダ類など多くのオンリー・ワンな自然資源があるのです。

では、これだけ多くのオンリー・ワン資源があるのですから、それをすぐに利用し、沖縄を豊かにしようという楽観的な話には残念ながら至りません。

自然環境に関してのべますと沖縄自体の面積が狭いため、生息環境が限られています。そのため、例えば、エコツーリズムやグリーンツーリズムでいくら「取って良いのは写真だけ、残して良いのは足跡だけ」といっても、人間が自然系に入ることによる破壊と自然蘇生とのバランスを考えなければ財産は失われてしまうほど非常に弱い存在なのです。扱い方を誤れば、すぐに消滅してしまうほどなのです。

優れたオンリー・ワンの資源を活用するためには、優れた活用方法を考えなければなりません。今年は、か弱い沖縄のオンリー・ワンの資源をどうすれば守りながら、私たちの豊かな生活へ活かしていけるかを考えてみたいと思います。

さて、今日のコラムでは、沖縄県文化環境部自然保護課・環境所自然環境局沖縄奄美地区保護事務所編 『Nature in Okinawa 沖縄の自然ガイド:森と海の不思議な生き物たち』(2005年)、池原貞雄・加藤祐三編著『沖縄の自然を知る』(1997年10月 築地書館)および平良克之・伊藤嘉昭著『沖縄やんばる・亜熱帯の森-この世界の宝をこわすな-』(高文研 1997年11月)を参照しました。


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Posted by 宮平栄治 at 20:54│Comments(0)沖縄経済学
 
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