2006年01月24日

第105回 「改正・独占禁止法が示唆する事柄は」

2006年1月4日(水曜日)から改正独占禁止法が施行されました。

独占禁止法といえば、昨年6月の沖縄県発注工事をめぐる県内建設業者の談合疑惑が記憶に新しいですネ。

公正取引委員会は不公正な商慣行から市場を守るため「市場の番人」とか「市場の番犬」といわれていましたが

どちらかというと談合や商品の表示などにおける不公正行為を罰則するのではなく、抑止が主だったといわれています。

期末試験を例に説明すれば、学生(=企業)のカンニング(=談合や闇カルテルなどの不正)を見つけ、受験した科目の成績を不可にしたり、停学処分などのように罰するのではなく、カンニングをさせないようにすることを優先していました。

そのため談合や不正表示等があっても全ての事案が刑事罰に科されなかったため、一部の人の中には、公正取引委員会を“吠えない番犬”などと揶揄したりしていました。

今回の改正では、勧告制度が廃止され、違反行為があったときは排除通知や課徴金の事前通知後、排除措置命令や課徴金納付命令等の処分が行われます。

また、繰り返される談合に業を煮やし、再犯防止のため、課徴金制度が“アメと鞭”見直されています。

たとえば、大企業の製造業では談合等で得た不当利益に対する課徴金算定率がこれまでの6%から10%へ引き上げ(先進国では20%)。また、調査開始日からさかのぼり10年以内に課徴金納付命令を受けにも関わらず再度違反した場合には、大企業の製造業では15%と割増された算定法が適用されます。ただし、立ち入り検査等の調査開始日の1か月前までに違反行為をやめた場合は算定率が8%と軽減されます。

さらに、談合の鉄の結束を錆びさせるため、入札談合やカルテル違反の情報提供を行った企業への課徴金減免制度(リーニエンシー)が導入されました。

この制度は、欧米やカナダや韓国ではすでに導入されている制度です。立ち入り検査前に、公正取引委員会が指定したファックスへ最初に違反の申告を行った企業は課徴金が全額免除されます。また、2番目は50%、3番目は30%減額されるという制度です。

情報提供による談合仲間の裏切りは、“和を持って尊しとなす”という日本の風土になじまないという批判もあるようですが、“君子は和して同せず小人は同じて和せず”という言葉もあります。

三位一体の行政改革や来年度の公債費を30兆円に抑制するなど中央政府自体に余裕も無くなっていますので、かつてのようにお目こぼしもできなくなっているのでしょう。

フェアーな市場で正々堂々と競争し、切磋琢磨するのが自由社会です。また、競争を優位にするための企業努力が新たな成長をもたらします。

談合などによって国内企業が守られていた一面もありますが、企業間競争が国内から国際競争へ変化した今日、談合や闇カルテルによるのではなく、研究開発などによる体質改善を今回の改正は示唆しています。

そのトレンドには沖縄県内の企業も逆行できません。

詳細は、公正取引委員会のホームページ、「http://www.jftc.go.jp/」をご覧下さい。


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Posted by 宮平栄治 at 11:15│Comments(0)沖縄経済学
 
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