2006年02月09日

第111回 「団塊世代後をにらむ」

先週の土曜日は卒業論文の最終報告会、月曜日と火曜日には沖縄市と読谷村で講演会をおこないました。この講演会のため日曜日は、資料作成造りでコラムの更新が遅れてしまいました。

さて、は沖縄市と読谷村では、団塊世代マーケティングについてそれぞれのまちづくりの観点で講演をさせて頂きました。

団塊世代が引退する2007年以降、約75兆円とも64兆円ともいわれる団塊世代を含めたエルダービジネスを巡ってさまざまな業界が新たな商品やサービスを提供し始めています。昨日も、サントリーが団塊世代向けに“オールド”の味やパッケージを一新するとの報道がありました。

このように団塊世代引退を目前に、久しぶりのビッグ・マーケットが動き出すわけですが、団塊世代が過ぎ去った後を考えてみましょう。

団塊世代の方々が学齢に達すると、学校数、教室数、教師数など全て不足学校の新設開校と名門校の誕生。また、学校への入試倍率が急に高くなり進学塾などの需要が急増し「受験戦争」というような言葉が生まれました。

また結婚適齢期になると住宅需要が旺盛になり、住宅不足・宅地不足が深刻化し、多摩ニュータウンのような郊外の丘陵地を宅地として切り開かなければならなくなり、土地などの不動産への高需要がバブル崩壊まで続きました。

つまり、団塊世代は、本人達の意思に関係なく、人口規模から必ず何らかの社会変化を引き起こしてしまう人口集団だったわけです。

その団塊世代が過ぎ去るとどうなるでしょうか。宅地需要が減少するわけですから市街地周辺や市街地内部の農地を宅地用につぶす必要はなくなります。また、海岸や干潟を埋立て新たな宅地を開発する必要は急速に薄れてきます。

つまり、これまでの旺盛な土地需要による地価を維持するシステムが維持できなくなる可能性があります。別の価値で土地の資産価値を維持しなければならないということにもなります。

その一つとして、風景や街並みなどがあります。例えば、沖縄の海岸近くでは朝日や夕日が見えるように都市計画を行うわけです。

ところが、これまでの沖縄の土地開発がなされて地域を見るとコンクリートと鉄の建物が林立しています。この建物が耐用年数を迎える頃には、日本は人口減少を迎えているわけですから、他の条件が変わらなければ宅地需要も現在よりは低下しているはずですので、もしかしたら、土地を担保に立て替え資金を賄えかねない可能性も予想されます。そうなるとスラム化という事態も懸念されます。

そのような事態へ陥らないようにするために、団塊世代が引退する機を捉え、土地需要による地価の維持ではなく、風景や街並みと担保にした地価の維持を考えて見る必要があるのではないでしょうか。

また、団塊世代の引退によって一時的に需要が高まると予想されます。その余裕のある間に、その後の事も考え、企業のこの後のあり方、地域の教育、福祉、文化などのあり方について長期展望も考える必要があると考えます。


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Posted by 宮平栄治 at 15:49│Comments(0)沖縄経済学
 
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