2006年04月20日

第129回 「SOHO三鷹から学んだこと」

3月28日(火)に、OVSの前プロデューサーS氏、現Sプロデューサー氏、産官学連携担当者の官側で、現在は民間人のC氏、および民側のS氏と共に、株式会社SOHO三鷹さんを訪問したことは本コラムの127回で触れました。今回はその訪問によって学んだ点をご紹介いたします。

アポなしの訪問でしたのですが、忙しい時間帯おじゃましたにもかかわらず、いやな顔一つせず、笑顔で突然の訪問者を関さんがおっしゃっていたように、とにかく“かまって”下さいました。

事務所といっても、それ程広くなく、せいぜい4畳半のくらいの部屋が並んでありました。
担当の女性の方のお話によればいつでも満杯だとか。

現在建設中で、これらテナントを募集するという地下1階、地上9階のどこかの施設とはかなり状況が違うという印象でした。

その秘訣は、官の役割と民間の役割を認識し、それぞれの強みを活かし、補完し合うこと。また、仕事は、気心の知れた年齢の近い人たちで小分けし、分担し合うことでした。

つまり、官の側は、厳格に施設利用者をスクリーニングし、保証を与えます。また、利用者は、「SOHO三鷹のテナント・ビルに入居している」というお墨付きで、顧客からの信用を得て、社会貢献を展開しているという点です。

また、シニアの方の仕事と、仕事先開拓、および連携に関しては、たとえば、シニアの方にコンピュータを教える際、街角のPC教室のように若いインストラクターが教えるのではなく、まったく素人のシニアの方には、少し上達したほぼ同年代のシニアの方が教え、その教えているシニアの方を教えるのも、その方よりも少し上達したシニアの方が教えるというような仕組みです。

若いインストラクターの方が教えるよりもシニア同士の生徒と先生が有利な点は、難しい片仮名のコンピュータ用語を、キーボードを触ったことがないシニアの方に、かつて教えている人がそうだったように、シニアの生徒が分からない点が先生もよく分かり、また、同年代ですから、分かるような言葉で教えることができるそうです。

また、教えているシニアの方もただいま修行中ですから、企業でも新入社員の試用期間中は給料が安いように、料金を高く設定するわけにはいかず、丁稚奉公感覚による、お手軽価格で心地よいサービスが提供できるわけです。

さりとて肩書きが無いわけではありません。きちんと名刺があり、その名刺にはコンピュータ・インストラクターという職業名が冠してあります。

このシステムによって、シニアの方は、技能、所得、そして“コンピュータ”という障害を共に乗り切った生徒と先生の枠を超えた友人、そして生きがいを得るという仕掛けでした。

さらに、初めてメールを開設したシニアの方には、多くの方から祝福のメールが送られてきます。送られてきたメール一つ一つに、たとえ最初は、キーボード操作に時間はかかっても、送ってくれた人の顔を思い出しながら返信することで、コンピュータの操作も苦にならず行えるため、上達速度も速まるというものです。

ちょっとした工夫で、仕事の開拓や人々の生きいが創造できるものです。なるほど、これが関さんが「これからの行政は建物というハードではなく、行政サービスというソフトの時代です」とおっしゃっていたことを得心した訪問でした。


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Posted by 宮平栄治 at 23:28│Comments(0)沖縄経済学
 
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