2006年10月15日

第172回 「飲酒運転を考える」

コラム#172-飲酒運転について-

福岡市の職員が飲酒運転によって幼い子供、3人の命が奪われて以来、飲酒運転がらみのニュースが多いですね。それにもかかわらず、飲酒運転に関する記事が後を絶ちません。

今日も、日経新聞のホームページをのぞくと、「女性中学教諭がひき逃げ・「飲酒」発覚恐れ逃走」やら「無免許で飲酒運転・逃走、衝突し5人死傷」などという見出しが・・・

私のゼミ生で、つい最近、免許更新を行った学生がいます。読谷村出身なので、通称、ベニー君と呼ばれています。

そのベニー君、軽い違反をしたため、3時間の講習会を受講。

その時の講習会の内容を先週10日(火)のゼミの時間に話してくれました。

その講習会では原因別交通事故を分析し、交通安全の徹底を違反者へ促していたのですが、ベニー君いわく、「原因別では、第1位は漫然運転、第2位が脇見で、飲酒運転が原因による死亡は少なかった」と困惑した表情で説明。

なるほど、警察庁の統計では、交通死亡事故の第1当事者の法令違反を見ると、第1位が、漫然運転の512件で全体に占める割合が14.3%、第2位が脇見運転で511件の14.3%、そして第3位が運転操作の408件の11.4%となっています。

詳細は、
http://www.npa.go.jp/toukei/index.htm」の「交通事故統計」の項目
http://www.npa.go.jp/toukei/koutuu35/20060922.pdf

をご覧下さい。

ベニー君のみならず、飲酒運転について自覚が乏しい人には、理解しがたい内容かも。

以前に、風邪の原因と要因の違いについて説明したように、原因は、脇見、漫然運転、操作ミス、信号無視などかもしれませんが、たとえば、同じ脇見でも、飲酒者と非飲酒者では事故発生率が異なるなどのように説明の仕方に工夫が必要。

また、飲酒へ向かわせる社会的背景も考慮に入れる必要があります。

たとえば、アルコール依存症に取り組む「高知アルコール問題研究所」の山本道也・下司病院院長によれば、「飲酒運転で捕まる人の中に、依存症だと気付いていない人がいる。治療しないと、また同じ事を繰り返す。飲酒運転の陰には病気が潜んでいるという観点も必要だ」と話す。

また、同研究所の調査では、4回以上免停になった人の7割以上が飲酒運転だったとか。詳細は、以下の東京新聞ホームページをご参照下さい。

http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20060905/mng_____tokuho__000.shtml

また、ストレスを紛らわすためにアルコールに頼る人が多いのかもしれません。

マスコミでの飲酒運転がらみの記事が多いにもかかわらず、連日、事件や検挙報道がなされる背景には、上記のような課題があるのかもしれません。


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Posted by 宮平栄治 at 23:32│Comments(4)沖縄経済学
この記事へのトラックバック
飲酒運転での死亡事故が大きく取りざたされた今年だったが、交通事故での死亡者数は70年以降最も低くなる見通しだとのこと。

 これは以外なことだったが、飲酒問題により例年に...
年間交通事故死、大幅減へ=15日に6000人超す-70年以降、最も遅く 【総合情報ニュース徒然草】at 2006年12月18日 17:10
この記事へのコメント
宮平先生、こんにちわ。

飲酒運転ですか。
この頃、多くの事件が報道されるようになりましたね。

まわりには、そんな人いない、と言いたいところですが…
私の父が、8年程前に酒酔い運転で免停をうけていました。
警察の方に叱られたうえ、母にも散々怒られていましたよ。
私はそのとき、「父は運がよかったな。」と思いました。
警察に捕まらずに、事故を起こしてしまっていたら、更に他の人を巻き込んでいたらと考えると恐ろしくて堪りません。
今は、私も免許を持っているので、父が飲みにいくときは必ず迎えに行きます。

事故は、被害者はもちろん、加害者の家族だって傷を負うと思います。
もちろん、お酒を飲んでいなくても事故は起こりうるものですが。飲酒後は判断力や反応速度が鈍るのですから、事故発生の確率が上がるのは当たり前のように思えます。

沖縄でもまだ、飲酒運転を悪いことだと思っていない…正確には、「悪いとことだけど、警察に見つからなけりゃ大丈夫じゃない?」という考えを持っている人がいるようですが…
まわりの人が、説教して止めさせる位の人間関係を作ってほしいと思います。
Posted by りんご at 2006年10月16日 13:06
宮平先生

先日は突然お邪魔してご迷惑お掛けしました。
2期生の秋山です。

飲酒運転に限らず、飲酒は自分を見失いかねないということを、お酒飲む人がもう少し自覚してもらいたいですね。

僕はお酒が駄目なので、大体お酒の席でもシラフでいるのですが、結構怖いぐらい変わる人や、少し話してもいつもと変わらないと思いきや、微妙な所で体が言うこと効いてない人もいます。

知人でお酒によってケンカして亡くなった人がいます。

楽しく飲むお酒は全然良いと思います。
でも飲酒運転含む、他人に迷惑を掛けてしまうようなのは絶対よくない!

何か根本的にお酒に対する考えが欠如してる人が多い気がしますね。

P.S.宮平先生、もしよろしければメールアドレス教えてください。お願いいたします。
Posted by 秋山 at 2006年10月16日 18:05
 久々におじゃましました。

 飲酒運転ですかぁ。確かに最近話題になっていますね。沖縄は昔から「飲酒運転追放!」のスローガンを掲げていますが、なかなか飲酒運転はなくならない。。。

 社会的背景か分かりませんが、単純にタクシーに乗るお金が無い。代行を利用するお金が無い。というのが飲酒運転をする理由だと思います(居酒屋でのバイトの経験から) とくに若い人はそんな感じでした。居酒屋で使うお金が1500―2500円 タクシーに乗ると最低600円(往復1200円)使う。飲み代とタクシー代が同じなのは納得がいかないようです・・・

 「お金がないなら飲みに行くな」といいたいところですが、他にストレスを発散する場や、コミュニケーションをとる場がないんでしょうねー。 

 「飲酒運転はダメ」みなさん頭では分かっているはず でも、常識や道徳だけで頭ごなしに「ダメー」って叫んでいても飲酒運転はなくならないと思います。。 
Posted by 名桜大 幸喜 at 2006年10月19日 16:01
宮平です。

”りんご”さんへ

 そうそう、飲酒運転で検挙されて、反省して、飲酒運転を行わないというのは、高い授業料を支払ったと前向きに考えた方が得策です。

 事故が起きると、被害者ばかりでなく、加害者自身や加害者の家族にも不幸ですからネ。


2期生の秋山君へ

 メール出しましたので何かあれば連絡下さい。


幸喜君へ

 仮に運転代行を利用するお金があったとしても、次の人は飲酒運転をします。

 1.アルコール依存症の人で依存症の自覚がない人
 2.飲酒運転で捕まる人は運が悪いと考えている人
 3.運転代行を利用する費用の心理的負担と飲酒運転したリスクを比較し   て、運転代行利用の心理的負担の方が大きい人

また、コラムにも書きましたが、飲酒を巡るさまざな社会的要因も検証しなければいけませんネ。
Posted by 宮平栄治 at 2006年11月25日 14:50
 
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