2007年01月03日

第189回 「世界各地にカジノ誘致の動き」

2007年 明けましておめでとうございます。

今年も、世界経済や日本経済と沖縄経済の関連について私なりの意見を述べていきたいと考えていますので、どうぞよろしくお願い致します。

年末・年始、どのようにお過ごしでしょうか? 私は・・・

学生の卒業論文や、大学院生の修士論文の校正で慌ただしく動き回り、ようやく、一息ついた所で、昨年からの気になる記事の整理を行っていたところです。その整理中に面白い二つの記事を発見しました。

一つは、2006年12月09日(土)の日本経済新聞ホームページに『シンガポールに「ユニバーサル・スタジオ」、カジノも計画』」

http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20061209AT2M0802Q08122006.html


そしてもう一つは、2006年12月16日(土)の日経新聞ホームページに『世界各地に「ラスベガス」 政府の誘致活発』

 「http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20061216AT2M1600316122006.html

という記事です。

記事を要約すれば、富裕層を狙った施設を、カジノを核に、豪華ホテルや有名シェフのレストラン、高級ブランド店、大劇場などの建設し、経済効果が期待されることから、アジアや欧州で計画が進み始めたということです。

沖縄でも、カジノを含むゲーミング構想があり、私もいくつか述べさせていただきました。

たとえば、ギャンブル依存症との関連と対策の必要性、テーマパークが成功する条件、あるいは、ラスベガスやリノと州立のコミュニティ・カレッジによる人材育成制度との関連から述べさせていただきました。

さて、今回のテーマについては、二つの考え方が出来ます。

一つは、世界中のカジノ建設ブームに沖縄も便乗するという考え方

そして、もう一つは、世界中にカジノが出来るということは、ライバルが多く出現する事を意味するので、カジノではなく別の魅力で富裕層をアプローチするという考え方です。

カジノを核とする施設をテーマパークという概念に含めるならば、テーマパークが成功するためには、地元住民の支持や協力、地元企業の協力、地方政府の協力が欠かせませんが、沖縄では、住民の支持や協力については闇の中という印象を受けます。

ライバル地域は、税制面や人材面での協力を国家体制で行う可能性が考えられますが、沖縄は日本の一地域ですので、他の地域と比べてさまざまな制約も予想されます。

ギャンブル依存症については、未だ対処方法も確立されていません。

また、新聞記事では富裕層をターゲットにしていると報じられていますが、沖縄の観光が富裕層をターゲットにしているかどうかも不明確ですし。富裕層がリゾート地でどのように過ごすかについて調査・研究も残念ながら見あたりません。

ここは慌てることなく、何が沖縄にとって望ましいのかを冷静に考えても良いでしょう。

仮に、富裕層をターゲットにした沖縄にカジノを含むリゾート施設建設が望ましいと判断されたとしても同じ内容では競争になってしまいます。

そこで、各地の状況を分析、「後発の利益」や「学習効果」によって他の地域と差別化、特に、人材を中心とするソフト面での差別化を図り、オンリー・ワン施設を作っても遅くはないと考えます。


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Posted by 宮平栄治 at 14:52│Comments(5)沖縄経済学
この記事へのコメント
ロバートです。始めて投稿させていただいていますが、だいぶ前から読ませて頂いております。

昨年11月にアメリカの選挙が行って、民衆党が圧勝したことが知られていますが、その以外に市などの選挙もあり、様々な投票する内容がありました。僕が住んでいるオハイオ州では、スロットのみのカジノについての投票がありました。オハイオ州民より却下されました。
これで3回目で却下されました。

オハイオ州の場合はどっちかというと、隣の州はカジノがあってかなりのオハイオ州住民がそちらの州にいってギャンブルしています。僕が住んでいるクリーブランドでは他の州のカジノの宣伝広告を良く見ます。今回の投票はそのお金を止めようということで議案されたのですが、州憲法(というかな)を変更する形になっていたので住民投票になりました。

オハイオ州では政治的な意味で非常に面白い場所です。南部にはかなりキリスト教影響受けている右翼が存在していて、僕が住んでいる北東オハイオ州、クリーブランド周辺、は民衆党だらけ。南部は罪だから却下するのですが、クリーブランド周辺はギャンブル依存症などの社会問題があるから却下するように見受けています。

僕は反対していましたが、理由はそれらと違います。反対した理由は
この投稿通りです。焦ることがなく、きちんとした差別化計れて、関連問題を踏んだ上のカジノ計画ではなかったからです。僕からすると、単なるオハイオ州住民が他の州に行かないでオハイオ州にお金を落す仕組みなんて、カジノの所有者(9人)しか儲かりませんし、地域の経済に貢献はあんまりしないと思うわけです。

又は普段、他の州ではカジノの収入(様々な定義)からX%を州に払う以上にカジノを運営するためにライセンスのオークション実施するわけで、2億ドル以上(20億円か)が必須です。オハイオ州の場合はこれが無くて、決まった9人に制限されていました。信じられますか?州憲法に9人にカジノライセンスを盛り込むなんって、正直にびっくりしました。

僕はカジノ反対ではありません。場合によって非常に効果的ですが、この投稿に書かれているように競争が激しいわけできちんとした計画じゃないと期待するほどの社会貢献/経済振興貢献がないわけで金持ちがさらに金持ちになるだけで社会問題を残すだけです。(間違えなく社会問題が発生するのです。今はリンクは手元にありませんが、いくつかの調査で明確になっています。)

又は富裕層がカジノのメインになるかは疑問です。もちろん、その層もカジノを利用すると思いますけど、実際にはどうなんですかね。最大利用者はどの層ですかね? そのようなデータがありますか? オハイオ州に1年ちょっと住み、こちらのカジノ対象者は富裕層ではないと感じます。間違えなく、普段の住民がターゲットだと思います。一般的にはカジノってどの層から一番お金を取っているのか興味がありますね。

あ、久しぶりに真面目なことを日本語で書いたので、きっと分かりにくかったと思います。ご了承してください。
Posted by ロバート at 2007年01月03日 19:01
ロバートさん 
久しぶりです。
日本語のレベル全く衰えずですな!お見事です。
読み応え十分です。
日本語下手な我々ウチナーよりよっぽど上ですね、相変らず。
それにしても、今もって沖縄のことを考えていてくれてThanks’です。

私、昨年から貴方の嫌いなNに戻っています。
Posted by 島田勝也 at 2007年01月05日 16:25
沖縄経済同友会の又吉章元です。

私は12月にマカオのタイパ島コタイ地区に新しく建設中であるベネチアンカジノ(Sands)及びマカオ半島にある既存カジノ施設の調査・視察にいってきました。宮平先生が紹介している新聞記事にもあるように現在、投資ファンドを含めた巨大なマネーが、アジアを中心にカジノビジネスに流入しています。
その資金はマカオ→シンガポール→日本(?)→中国(?)というように流れていくと見ている関係者は多いと思います。

先生のご意見の中で
『カジノを核とする施設をテーマパークという概念に含めるならば、テーマパークが成功するためには、地元住民の支持や協力、地元企業の協力、地方政府の協力が欠かせませんが、沖縄では、住民の支持や協力については闇の中という印象を受けます。
また、新聞記事では富裕層をターゲットにしていると報じられていますが、沖縄の観光が富裕層をターゲットにしているかどうかも不明確ですし。富裕層がリゾート地でどのように過ごすかについて調査・研究も残念ながら見あたりません。
そこで、各地の状況を分析、「後発の利益」や「学習効果」によって他の地域と差別化、特に、人材を中心とするソフト面での差別化を図り、オンリー・ワン施設を作っても遅くはないと考えます。』
というくだりがありますが、まさしくその通りだと思います。

但し、それは現在のカジノを取り巻く状況を沖縄の県民が理解し、国際観光都市を目指すという今後の沖縄の選択として、どうなのか。
また、本当に沖縄は国際観光都市を目指すのか。
今後の沖縄の自立のあり方を考えるいい機会だと思います。

今、沖縄県民はカジノに関する情報が不足していると思います。賢明な決断は正確な情報と理念だと思います。現実を逃げるのではなく凝視したうえで、リスクをどのようにコントロールし、行動に移すのかが問われていると思います。

沖縄県経済団体会議が中心になって2月17日(土)に第4回日本カジノ創設サミット in Okinawa が開催されます。参加費無料ですので、多くの県民の方々が参加し、カジノについて考える機会になればと思っています。
できるだけ早い機会に県民に告知したいと思いますが、
詳細は沖縄経済同友会(Tel 868-8439)までお問い合せ下さい。
Posted by 又吉章元 at 2007年01月05日 20:26
ロバートさん

 久しぶりです。NVでは有益なお話を賜りありがとうございました。また、今回、コメントを頂き、重ね重ね御礼申し上げます。

 コメントの中で「州憲法に9人にカジノライセンス」とありますが、私の推測では、あえて9人に限定してのは、多くの人がカジノ・ビジネスへ参加すると、投資資金回収までに時間がかかったり、利益がでないと考えたからでしょう。

 さらにコメントにあるように「富裕層がカジノのメインになるかは疑問です」というのも調査をしないとよく分からないというのが回答です。

 ですから、焦らず、先行事例をよく調査する必要があると考えています。



又吉章元さん

 「マカオのタイパ島コタイ地区」という体験に基づくコメントを頂きありがとうございます。

 コメントの部分の

 「在のカジノを取り巻く状況を沖縄の県民が理解」
 「国際観光都市」
 「沖縄は国際観光都市を目指すのか」

には大賛成です。

 特に、「国際観光都市」といった場合、どのようなハードやソフトがあり、蓄積されていれば国際観光都市」なのか、という事については考える必要があります。

 また、「国際観光都市」に沖縄がふさわしく、県民も納得するならば、「国際観光都市」建設にスムーズに進むでしょう。

 一番怖いのは、コメントにあるように「情報不足」とボタンの掛け違いです。
 
 2月17日(土)に「第4回日本カジノ創設サミット in Okinawa」のご盛況を祈念致します。
 
Posted by 宮平栄治 at 2007年01月05日 21:24
私は、今『沖縄観光におけるカジノの可能性』というゼミ論文を書いています。
皆さんのコメントは、私の考えと似ている部分もあり、また新たに気づかされる部分も多くありました。先日、仲井眞県知事がカジノ導入の検討を本格的に開始し、県に二人の専従職員を配置する方針を固めたという記事を読み、沖縄にカジノ・・・ということが本格的になってきました。私も、多くの正確な情報を頑張って集めて、いい論文を書き、沖縄の今後に少しでも貢献できたらと思っています。
たいしたことないコメントなんで、すいません・・・
Posted by 恵理 at 2007年01月20日 23:12
 
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