2008年01月29日

第284回 消費者行政One Stop化のメリット

 前回のコラムでは、アメリカとの比較から日本の消費者行政について問題点を指摘してみました。

 仮に日本でもアメリカの食品医薬品局(FDA; Food and Drug Administration)のように一つの行政機関によって消費者行政が行われた場合のメリットを考えてみましょう。

 メリットが考えられる対象者は、消費者、生産者、社会、そして政府です。

 消費者メリットとしては、消費者が使用している品々についての違反疑惑、訴えや疑問に対して一カ所に訴えればよくなりますので、たらい回しがなくなり、精神的に楽になります。

 また、気軽に相談できるため、一時できには訴えや相談件数が増加するリスクもありますが、その結果、消費者の監視の目が行き届きますので違反が減少するでしょう。ただし、消費者側にも正しい知識が求められます。そうでないとたいした病気やケガでもないのに救急車を呼ぶような事態と同じことになるとかえってコストが増す可能性もあります。

 上手く機能すると安心して消費できますので、その分の心と時間的ゆとりを別のことに利用できます。

 生産者メリットのメリットは、様々な審査や検査が一カ所で手続きができるので時間と金銭的費用が節約でき、精神的にも楽になります。

 相談等も一カ所で出来るので解釈の違いによるうっかりによる違反件数が少なくなり、営業停止、罰則金の支払い、そして消費者からの不信のリスクが軽減出来ます。

 監督官庁よりお墨付きが得られるので消費者に安心して商品が提供できると同時に誇りを持って販売が可能となります。

 産業全体の信頼を確立でき、消費拡大につながれば収益が拡大する可能性が高くなります。

 社会のメリットとしては、安心して購入できるので消費が増え、経済成長につながります。

 最後に政府のメリットとしては、消費者と生産者を含む国民から信頼されるため政府の目的である社会秩序が容易になります。

 消費者行政が消費者の信頼と生産者の安心を得られることで消費が拡大し、経済成長につながれば税収が増加します。税収が増加すれば、国民が必要とされる公的サービスの充実ができ、その結果、さらに国民からの信頼度が高まり、社会秩序がさらに安定すると考えられます。

 ただし、これはあくまでも理想論ですので、実際は思い通り行かないことも多々あるでしょう。

 今日の国会では、ガソリンへの暫定税率をめぐっての「つなぎ法案」だ、なんだかんだやっているようですが、消費者と生産者の信頼と安心を“つなぐ”こともお忘れ無きようお願いしたいものです。


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Posted by 宮平栄治 at 23:16│Comments(0)沖縄経済学
 
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