2008年10月05日

第341回 中古住宅市場と履歴

 10月に入り何かと忙しくなりますネ。

 さて、9月26日(金)の『沖縄タイムス』朝刊第9面に「国交省 中古住宅の履歴を明示」という記事がありました。

 中古市場といえば・・・

 自動車がおなじみの市場ですネ。中古車市場は経済学の中でも分析対象となるテーマです。

 最初は、アメリカでT型フォードが生産され、自動車が一般的になった1920年代です。

 その頃、アメリカでは新車を販売しようにもなかなか売れず、要因を調べたところ、新車を購入しようとしても古い車の処分が障害になっていたことが判明。

 そこで、自動車メーカーは中古車市場の開拓に乗り出したと自動車産業の専門書には記述されています。

 また、情報の経済学ではアカロフが、中古市場における販売店と購入者における中古車の故障歴や事故歴に関す分析を行っています。

 アカロフによれば、販売店は中古車の不具合については熟知していますが、購入者はそれらの情報についてはほぼ皆無。

 このような状態を情報の非対称性といいますが、非対称性がある場合、もし購入者が中古車の問題点について販売店側から適切な情報提供がなされず、また、購入後の保証が無い場合、購入後、中古車に故障が続いたならば中古車市場が衰退することを分析しています。

 中古市場で機材のやりとりが行われているのが航空機です。

 ご存じのように航空機は飛行時間で法律や虚空会社独自で決められた整備・点検が行われるため、中古機であっても長期にわたって飛行可能です。

 この場合の公的・自主的規制は市場を活性化させますので必要規制と言えるでしょう。また、全ての規制が市場活動を疎外するとは限らない典型的な事例です。

 自動車、航空機、そして住宅は、維持管理をしっかりすれば10年以上使用に耐えられる財(経済学では「耐久消費財」といいます)です。

 資源のムダを省く点からも、また、中古住宅市場の観点からも今回の措置は理にかなったものだと言えるでしょう。


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Posted by 宮平栄治 at 21:14│Comments(0)沖縄経済学
 
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