2004年10月22日

第12回:「沖縄・観光文化検定試験」とその効果

 先週の10月12日火曜日、那覇市の泡盛専門店で、大学時代のインカレ仲間で、 「沖縄病」に冒され、しかも重篤なる症状の夫婦と泡盛を酌み交わしつつ、旧交を 温めていました。その際、沖縄の泡盛や食材を首都圏での入集方法に話題が及びま した。

 その夫婦は横浜に住んでいるのですが、読者の皆さんもすでにご存じの様に、沖 縄の食材は全国展開されており、その夫婦の場合は、居住地から近くでは、沖縄県 出身者が多数暮らしているので有名神奈川県鶴見区で、また、仕事の帰りには銀座 の「わしたショップ」で購入しているそうです。

 その「わしたショップ」では、沖縄と同じように、ゴーヤーやなーべーらーなど の食材が並べられおり、その夫婦も利用しているそうです。ある時、なんだかんだ 買い求め、レジで精算をしていると、傍らで、沖縄出身らしい女の子が携帯電話で 沖縄にいる父親に対して、『こっち(東京)には、ゴーヤーもなーべーらーもあるの で、(東京で暮らしても)大丈夫ヨ―』という会話を立ち聞きしていたとの事。

 ゴーヤーや泡盛をはじめ、沖縄の産物が全国の津々浦々で販売されるのをうれし く思える反面、どこでも沖縄の食材が手に入るという事は、わざわざ、沖縄で食べ る必要もなくなることを意味し、ふるさとへの帰属感も希薄化してしまうのではな いかと妙な心配を抱いてしまいました。

 文化とは、食材、言葉、唄、触れ合いなどで継承・再生・発展するものですから、 沖縄の食材などが全国ブランド化されたからといって、沖縄県民のアイデンティテ ィが喪失するとは思いませんが、逆に、沖縄の食材などが全国的にブランド認知さ れ、さらに展開されるには、ホンモノの沖縄、沖縄の地ではなければ五感+αに感 じることができないモノや仕掛けがますます必要になります。同時に沖縄県民自身、 沖縄の事を知らねば先述のように帰属意識も薄れかねません。

 文化をゲーム感覚で理解し、楽しみながら知識が学べるという意味で、先頃、京 都商工会議所が、京都の歴史や文化、生活などに関する幅広い知識を問う「京都・ 観光文化検定試験」を実施したそうです。反響は良く、受付から一週間で1,300人 を突破する応募があったそうです。

 沖縄には京都にも匹敵する歴史、文化や生活の素地もありますし、ファンもいま す。また、チャイルドフッド社の沖縄の『カフェ 100』のように沖縄に関するデー タ蓄積も豊富です。「二匹目の泥鰌狙い」ではなく、「良いモノは真似る+学ぶ」 という姿勢で京都に倣い、「沖縄・観光文化検定試験」の実施し、ついでに、テキ ストを発刊し、県内はもちろん全国へ販売するのは、いかがでしょうか。

 京都の検定試験との差別化を図る意味で、首里王府の官位制度に倣い、テキスト に基づいたペーパー試験、「沖縄・観光文化検定試験」の合格者には「里之主(サト ゥヌシ)」の称号を、さらに、「里之主」合格者には、島言葉、唄・三線、琉球舞踊 や空手などの実技試験を導入し、島言葉を話せる人には「筑登之(チクドゥン)」の 称号を、唄・三線をマスターした人には「親雲上(ペーチン)」の称号を、琉球舞踊 や空手を習得した人には「親方(ウェーカタ)」の称号などと、沖縄らしいクラスを 設け、沖縄・観光文化を楽しみながら学べる工夫をしてみてはいかがでしょうか。

 また、この試みによって、新たな沖縄ファン層の開拓と、同時に、沖縄県民への沖 縄への喚起と、いまだに何らの資格もなく、それぞれ独自に行っている観光ガイドの 方々に、共通で等質な公式の資格を取得していただき、沖縄の観光を通じて文化の伝 道者というプライドを持って沖縄の観光の携わって頂くことも可能です。


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Posted by 宮平栄治 at 00:00│Comments(0)沖縄経済学
 
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