2005年06月03日

第41回「“かりゆしウェア”」

-ビジネスウェアか、カジュアルウェアか-

入梅したとたん、北風のせいか梅雨寒が続いていましたが、小満に入り梅雨の中休みでやっと晴れ”かりゆしウェア”が心地よく感じます。

昨年から「ニュース23」の筑紫哲也さんが”かりゆしウェア”を着こなし、また、テレビ朝日系列では高島礼子さん主演の“異議あり~!女弁護士 大岡法江”でかりゆしウェアを着こなしていました。そして、今夏は、小池百合子内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策)・環境大臣の音頭で、華美にならない程度での霞ヶ関の官僚の皆さんも”かりゆしウェア”の着用を認められ二酸化炭素削減の一役を担うなど徐々に日本全国へも良さが浸透しつつあるようです。

1990年に「めんそーれ沖縄県民運動推進協議会」の一環として着用が推奨されましたが浸透しなかった”かりゆしウェア”ですが、2000年の九州・沖縄サミット以降、認知度が高まるにつれ、売上も着実に伸びているようです。

さて、5月21日(土曜日)、ベンチャースタジオのパークアベニューでのTV収録後、遅い昼食を取るためにプラザハウスに移動中、午後のコザの街を車で走らせ、ふっと気づいたことがありました。街を闊歩する人々の服装を観察してみると平日よりも”かりゆしウェア”を着用している率が少ないような気がしました。

月曜日のキャンパスで、学生の服装を注視してみるとTシャツ派が圧倒的で、”かりゆしウェア”はマイナーです。これは価格の影響かと思いつつ、私のゼミの大手スーパーで衣料担当を希望している4年生と就職活動面接用の対策を話している際、彼女の話によれば、昨年の夏、インターンシップで旅行関係の仕事を行うため初めて”かりゆしウェア”を購入したそうです。その時、若者向けにデザインされ、また、価格も手ごろな”かりゆしウェア”が見あたらないし、また、売場近辺に店員さんがいないため、何を購入して良いのか分からなかった事が非常にこまったそうです。

そのような経験から、彼女は”かりゆしウェア”を意識したそうですが、彼女の指摘によれば、”かりゆしウェア”を着ていない年齢層は若者ばかりでなく、65歳以上の人の着用率も少ないそうです。ハワイでもお金の余りない若者はやはりTシャツが一般的でしたが、、それ以外の年齢層ではアロハシャツは圧倒的でした。

ハワイと沖縄の違いについての理由を考えてみましょう。一事例で全てを語れないことは重々承知の上で、先程のゼミ生のエピソードから紐解いてみましょう。彼女が志望する会社へ履歴書を届ける際、あえて”かりゆしウェア”を着用していったそうです。そうすると、顔なじみの人事担当者から「学生だけど、もうどこかで仕事をしているの?」と言われたそうです。つまり、沖縄では”かりゆしウェア”=ビジネスウェア、というコンセプトがあるのではないかと思われます。そのような仮説を設定してみると、休日に”かりゆしウェア”を着こなしている人が少ないという印象も納得してしまいます。

さて、沖縄の若者に”かりゆしウェア”を着用して頂き、カラフルな動く花となってもらうため、また、仮に、無意識に”かりゆしウェア”=ビジネスウェアという着こなし方をしている皆さんの意識を、”かりゆしウェア”=ビジネスウェア+カジュアルウェア+生活の一部まで昇華するための方法を考えてみましょう。たとえば、デザイン、価格、質を年齢層や生活シーン別に展開することはもちろんですが、広告としては高島礼子さんに加え、若い女性向けのファッション誌で人気のモデルさんに”かりゆしウェア”を着こなしてもらうなどもあります。日本でもアロハシャツや渋谷の109では女性向けに売り出しましたが当初は全然売れなかった和風ウェアがあるモデルさんが着こなすことで認知度が高まっり、販売が向上した事例も有ります。

”かりゆしウェア”の若者層へ浸透によって、販路が全国に拡大する可能性もあります。また、この成功事例は、日本各地の趣はあるのですが、現代風にアレンジされていないため人知れず眠っているデザインを呼び起こし、各地それぞれの”かりゆしウェア”が売り出されると、豊かで多様化した地域が甦るかもしれません。


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Posted by 宮平栄治 at 11:09│Comments(2)沖縄経済学
この記事へのコメント
はじめましてこんにちは!今回ブログを見てファンになってしまいました。私のblogにも是非遊びに来てコメントください。うれしすぎると思います。お気に入りに登録してもよければおしえてください。わたしのもお気に入りによければいれてください。またこれからも楽しくblog見させていただきます。
Posted by kirin at 2005年06月09日 23:28
 私の相棒は去年、東京から沖縄へIターンしました。
そこで、彼が気にしていたのが沖縄に帰ってきたら
かりゆしウェアを”着ないといけないのか”っということでした

 彼がなぜ、”着ないといけないのか”っという言い方をするのか!
私なりに解釈してみました。


  ・デザインが派手すぎる
  ・量販店で買うと、職場の人とデザインがかぶる
  ・デザインがかぶらないようにすると、1着万単位になってしまう


 っということがあげられると思います。

 たしか
-------------------------------------
かりゆしウェアとは(*1)
-------------------------------------
 ○    1. 沖縄県産品であること
○ж○  2. 沖縄らしさを表現したものであること
 ○    
  (参考)沖縄県衣類縫製品工業組合HP
-------------------------------------

である。デザインに関しては何も書いていない。
シャツだけが「かりゆしウェア」ではないのだ!
上記条件を満たして、ワンピースや水着を作っても
それは「かりゆしウェア」なのである。

 ★かりゆしウェア”=ビジネスウェア+カジュアルウェア+生活の一部

に昇格するためにはかりゆしウェアの定義を理解し
新しいことにビジネスチャンスを見出せるウチナンチュの
力も要求されていると思います。

 今年のかりゆしウェアテキスタイルデザインコンテスト(*2)
は今週月曜日締め切りを迎えました。果たして、昇格できる
デザインの提案をした作品はあるでしょうか?
県庁での一般審査が楽しみです。

-------------------------------------------------
参考
-------------------------------------------------
*1
  沖縄県衣類縫製品工業組合
  http://www.kariyushi-okinawa.com/about/index.html#iti

*2 
  那覇商工会議所
  http://www.nahacci.or.jp/

Posted by Navitoto at 2005年06月17日 23:23
 
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