2005年11月02日

第80回 「沖縄の地域ブランド創造に必要なことは何か」

11月1日(火)に沖縄国際大学図書館で開催されました野口正幸氏(株式会社伊勢丹統括部食品営業部営業商品担当マネージャー)の講演、「物産展から見る沖縄県産品の現状とブランド形成にむけた課題と施策―都心百貨店の視点から―」に参加しました。

野口正幸氏のリズミカルな話法、臨場感溢れる説明と視点、そして、なにより沖縄を愛するが故の提言・苦言など、講義を休講にして参加しても余りある程、内容が濃く、示唆に富み、また、沖縄の地域ブランドの現状について考えさせられる内容でした。なお、本学ではこのようにやむを得ない事情で休講にした場合、補講日が設けられていますので、学生の不利益になることも、私の立場が危うくなることもございませんでのご安心下さい。

野口氏によれば、成功のキーワードには12項目、①その店にしかないという希少出店、②お茶といえば◎◎というような看板商品、③限定商品、④モンドセレクションのような受賞商品、⑤今朝取り立て産地直送のような鮮度追求、⑥有名店と有名店とのコラボレーション、⑦ケーキなどがその場で買ってその場で食べられるイートイン、⑧有名料理人による監修やレシピ、⑨対面販売などでは実力販売員、⑩実演販売、⑪試飲・試食強化、⑫会員カードなどのデータを解析することによるDM戦略だそうです。

上記の12項目にマッチングさせる上で、沖縄県サンピンの課題を4点、①商品への裏付け、②供給体制、③消費者の声を知っている小売店担当者との意思疎通、④顧客との向き合い方を指摘し、そのための施策を展開しています。

商品に明確な裏付けを確かなものとするためには、商品を第3者が評価する仕組、たとえば、品評会や受賞会の実施と促進、有名専門家による評価商品の発掘、TV局での対決系番組によるPRを行うことを提唱しています。品評会や受賞会の実現に向けては、生産者、消費者および行政による組織化と判定基準、専門家やTV局にたいする定期的な商品や情報提供が前提となります。

供給体制の不安・問題という課題解決には、出荷体制の整備の必要性を述べています。出荷体制確立のためには、個々の生産者ではなく、出荷時期、量、品質の統一などが可能な生産者組織と流通網が必要となります。

小売店担当者との情報交換不足の対策としては、もちろん、積極的に情報発信をすることですが、隠し味として、第3者との引率や推薦があると効果が高まることを、また、生産社主催の現地での発表会、品評会、産業まつり等への小売担当者の告知、招待を行い、商品の評価ポイントや売り方の情報交換を行うことを推奨しています。その際、生産者は、何を尋ねるのかという質問項目の他、原価、供給・出荷体制や品質管理等の必要な情報の完備していなければ、「担当者をお呼びしました。でも、何も起こりませんでした」ということになりかねません。

顧客と向き合うためには、顧客のデータ管理を行う必要があります。そのためには、ターゲット層の絞り込み、性別や年齢などフェイス項目、商品購入目的、購入場面での顧客想定といった事柄をしてきしていました。

顧客を意識した商品規格を行うためには、顧客の生の声を吸い上げるしくみ、具体的には、①販売員が顧客の欲しがっている商品を細長い紙に書いて情報が全社で共有化できるWant Stripの活用、②ごひいき客による座談会、③アンケートの実施を、また、ムダを省くため科学的な購買情報の分析、どの顧客が、何時、どのような商品を、いくつ購入したかなどのデータをまとめ、分析、③購入者の購買行動や反響という生身の情報を知るためのトライアルスペースを確保氏、『旬のコーナー』などをPOPで分かりやすく知らせることをアドバイスされていました。

顧客からの声から顧客を意識した商品規格を行うためには、何よりも情報をさまざまな局面で活用するという意識、体制、実施、そして評価システムがなければ折角集めた情報も、いつの間にか書架の中で眠ったままになってしまいます。

次回は、野口氏の講話を私なりにまとめてみたいと思います。


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Posted by 宮平栄治 at 23:16│Comments(0)沖縄経済学
 
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