2005年12月21日

第95回 「学業成績だけでは判断できません」

暖冬だという長期予報でしたが、今年は寒いですネ。忘年会もピークを過ぎ、そろそろお正月を迎える今日この頃だと思います。私のゼミでも先週の金曜日、納会を行いましたが、今日はその話題をお届け致します。

中部地区にあるとある高校出身のC君、中学・高校と野球に明け暮れ、成績は大体低空飛行だったそうです。本学には“やる気”の自己PRで合否を決定するAO入試で入学しました(面接したのは私です)。

その際、同校からは野球部のキャプテン、T君も受験しましたが、アピール不足のため、不合格となりました(面接したのは私です)。

その後が大変

「なぜ、C君は合格なのに、彼よりも成績も性格のよいキャプテンが不合格なのですか?」と進路の先生から抗議の嵐。AO入試は、自己PR力で合否が決定する制度だという説明にも一向に耳を傾けて頂けませんでした。結局、A君は、本学の他学科へ合格し、野球部のエースとして活躍しています。

さて、その後のC君ですが、自由奔放の大学生活を過ごし、ヘアースタイルも3万円かけてボンバーに。その彼が3年生になると私のゼミへやって来ました。しかし、成績は相変わらずで、3年生で行けるはずだったインターンシップも取得単位数が足りず、4年生で履修するほど。

さて、4年生になるとC君も就職活動を開始。今年度の4年生は、活動的で8月中にはほぼ全員が就職内定を頂きましたが、話題のC君も在京、東証一部上場企業で、OA・ITソリューション専門商社から内定を目出度くGet。

先日の納会では、就職内定までに至る苦労話、例えば、その企業の志望者数は3万人くらいで、在京企業だけに6大学が多かったなどを3年生に披瀝していました。

C君の場合、最初の面接では怒濤の質問の嵐を45分。相手が疲れるまで質問をおこなったそうです(筆記は全くできなかったとの事)。

人事部長面接では、「人事部長として過去10年間、君ほど営業向きの学生は見たことがない。人事部長の私が採用を決定する」と一発内定という伝説を作り上げました(もちろん、一般教養試験を合格の上での面接です)。

新潟出身のH君もやはり高校時代はそれほど勉強熱心だとはいえなかったようです。大学入学後も、パチスロ研究に熱中し、本人曰く「学費を稼ぐほどまで上達?」。3年生の前期から証券会社希望で、3年生の後期には早くも就職活動を開始。業界一位は支店長面接まででしたが、業界二位に就職が内定しました。

そのH君の卒業論文は、「株価と日本経済」についてですが、自宅で私からの修正箇所を調べ、完成させ、今週の月曜日、完成間近の卒論をフロッピー・ディスクに入力し、私の研究室へやって来ました。

私は、早速、内容をチェックしようとフロッピー・ディスク・ドライバーへFDを挿入し、開こうとすると、エラー表示が。いろいろ操作しましたが、卒論をFDへ入力した際、ミスが生じてしまい、FDの中身、つまり、完成間近の卒論が全部壊れていました。

H君に自宅のコンピュータのハードディスクに保存したかどうか尋ねたところ、保存していないと事。「オイオイ、株を勉強する者がデータのリスク分散を知らないのかネ」と皮肉りつつ、仕方がないので、私のコンピュータにある修正前のデータを渡しました。この経験から、H君もリスク分散の意味が体得できたので、顧客にも上手にリスクコントロールを説明できるものと確信しています。

さて、C君もH君も高校までの成績はそれ程良いとは言えませんでしたが、企業社会という環境から見た場合には、人には成績だけでは判断できない優れたものがあるということです。

また、卒業後は、いわゆる、東証一部上場企業に入社しますので経済的には恵まれるでしょうが、彼等二人が、5年後、10年後、幸せかどうかは、その時々に質問してみないと分かりません。

と結論をまとめながらも、「じゃ、私の大学での講義は何に役立っているのだろうか」と自問自答しています。

それにしても、3年生のHG君の大虎ぶりには困ったものでした。本人は意識が無かったそうですが、昨日のゼミで、状況写真を見せ、二度とやらないように指導しました。


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Posted by 宮平栄治 at 20:37│Comments(1)沖縄経済学
この記事へのコメント
高校時代の私は共通一次で420点?だったかな。
琉球大学を落ちましたよ。
それでも今は何とか仕事は出来ています。
来年は大学院に通ってみようかとも考えています。

若者達育成の任務、お疲れ様です。
Posted by shimada at 2005年12月21日 23:40
 
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