2005年12月31日

第100回  「またまた理屈っぽいコラムです―背理法―」

今日は大晦日ですネ。皆さん、いかがお過ごしでしょうか。

私は自宅の大掃除をやっと3分の2程度終えたところです。残り部分の掃除は年越しです。

さて、前回は、因果関係について説明しました。記念すべき第100回目のコラムは、前回に引き続き理屈っぽいコラムと成りました。今回は、論理学の一技法である背理法を説明致しましょう。中身は、私の講義で学生に説明している内容です。

背理法とは、ある命題を証明するために、わざと逆の命題を設定して、論理的に矛盾を生じさせ、その原因が逆の命題にあることを証明し、逆の命題が間違っていることを証明することで、証明したい命題の正しさを論証する方法です。

例えば、「犬には寿命がある」という命題を証明するために、背理法で説明すると、「犬には寿命がある」の逆ですから「犬には寿命がない」という命題を設けます。この命題からどのような事態になるかを考えるわけです。

犬には寿命がないわけですから、ある母犬から生まれた子犬もやはり寿命がありません。すると、その子犬が大きくなり、雌だった場合、子犬を産むわけです。するとやはりその子犬も寿命がないわけですから、その子犬も大きくなって、雌だった場合、子犬を産むわけです。・・・という具合になると地球は犬だらけの惑星になっているはずですが、実際にはそうではありません。つまり、矛盾が生じたわけです。

その矛盾が生じた理由は、最初の「犬には寿命がない」という命題を根拠に考えたためですから、「犬には寿命がない」という命題は誤りだと分かり、「犬には寿命がある」という結論になるわけです。

ダブルループ学習においては、結果を意思決定やスキーマにフィードバックする際、因果関係や背理法などの論理的思考を用いて、自分の判断の根拠となった考え方が正しいかどうかを検証しなければ意思決定やスキーマの修正にはならないわけです。

スキーマの修正には、時間と努力を要します。何度か繰り返していくことが重要で、楽しみながら修正して下さい。

今回は、野矢茂樹著『論理トレーニング』(産業図書 1997年11月)、波多野誼余夫・稲垣加世子著『無気力の心理学』(中公新書 1981年1月)を参考にしました。


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Posted by 宮平栄治 at 19:21│Comments(1)沖縄経済学
この記事へのコメント
いつもお世話になってます!!
今年は大変お世話になりました。
来年もいろいろお話(歌?)出来ればと思いますのでよろしくお願いします。
Posted by 安里@かりさら at 2005年12月31日 22:56
 
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