2006年01月08日

第103回 「卒論校正は楽しくもあり大いに学ぶ機会でもあり」

さて、前回のコラムでは卒業論文を校正する苦労話をお話ししましたが、今日は、苦労ばかりでなく、学ぶことも多いという内容をお届け致します。

私のゼミでは、学生が好きなテーマを設定するため、私の専門以外の分野を卒業研究のテーマとして選ぶ学生が結構います。今年の研究テーマで専門外のテーマは、顧客満足、リゾートウェディング、ブランド、コーチングやレジャー産業などです。そうなると、私も必死で学ばなければいけません。

さて、あるスポーツ系の専門学校から編入学してきたO君。見るからに純朴そのものの青年で、最初のころは会話もままなりませんでした。例えば、「今日のお昼は何を食べたのか」と尋ねると「普通の食事」で終わるような類です。そのO君が選んだテーマが「顧客満足経営」。最初はどうなるかを心配でしたが、やっと論文の形らしくなってきました。

O君はコトラーのマーケティングを中心にまとめています。コトラーのマーケティングといえばラテラ ル・マーケティング(lateral marketing)です。ラテラル・マーケティングとは、従来のマーケティングが

       「市場・顧客」
          ↓
         「製品」
          ↓
    「マーケティングミックス」

というように垂直的だったのを、局面を水平移動させることでギャップを発生させて、課題を発見し、そこから演繹的に新顧客、新商品、新販売方法を発見しようというという手法です。つまり、

ラテラル・マーケティング

     「市場・顧客」
        ↓
      「製品A」→水平移動→「製品B」→ギャップの発生→課題発見→問題解決
        ↓
   「マーケティングミックス」


その際、動かす軸は「ニーズ」、「ターゲット」、「時間」、「場所」、「状況」、「質・量」、「国内外」、「具体化・抽象化」など多岐にわたります。

あえてギャップを生じさせ、課題が出てきますので、その課題解決のために「代用・代替」、「結合」、「増補」、「逆転」、「除去」、「強調」、「並び替え」で見直し、それによって新たな市場のカテゴリーを見つけ出すわけです。

そのためには、ブレーンストーミングのように批判なし、多数のアイディアが、職位・職階に関係なく、あれやこれや前提無く、自由に、そして大量に創造できるという企業内の雰囲気も必要ですし、また、発散的にでたアイディアを今度は、さまざまな制約からまとめる必要があります。

残念ながらO君の卒業論文には、まだ、どのようにまとめるかがありません。このコラムで制約条件を私が書いていることには、O君の卒業論文にも成果となって現れていることでしょう。


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Posted by 宮平栄治 at 14:57│Comments(1)沖縄経済学
この記事へのコメント
 こんにちは、毎回楽しく読ませていただいています。余計なお世話かもしれませんが、一つ。
 {
そのためには、ブレーンストーミングのように批判なし、多数のアイディアとう企
^^^^^^^
業内の雰囲気も必要ですし、また、

 →多数のアイディアという企業内の
 }
ではないでしょうか?失礼しました。
Posted by (´・ω・`) at 2006年01月12日 00:02
 
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