2006年02月27日

第117回 「そのニュース、沖縄にはよい知らせでは」

東京大学の伊藤元重氏によれば、時代変化に対応するには、3つの目が必要だと述べています。

その目とは、例えば消費者嗜好の変化のような小さな事柄をみる“虫の目”(ミクロの目)、ライバル企業の動向など全体を見渡す“鳥の目”(マクロの目、あるいは俯瞰)、そして、消費者ニーズの変化などのような時代を読み取る“魚の目”(トレンドの目)が必要と述べています。

私は、この3つの目に第4の目として“歴史の目”を加えています。

さて、本日2月27日の日経新聞のホームページに、面白い記事が3つほど掲載されていました。内容は・・・

第一の記事は、文化庁が“芸術家のデータベースを構築する”という内容の記事。詳細は、以下のホームページをご参照下さい。
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20060227AT1G2500927022006.html


第二の記事は、“アメリカで日本酒がブーム”になりつつあるという報告。詳細は、以下のホームページをご参照下さい。
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20060227AT2M2500J27022006.html


そして、第三の記事は、“ジェトロがニューヨークで日本食の普及にむけてキャンペーンを展開”するという内容。詳細は、以下のホームページをご参照下さい。
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20060227AT2M2500K27022006.html

最初の記事に関しては、以前、本コラムでもイギリスではシェークスピアを世界中へ売り出すために300年を要したことを述べました。日本政府も観光庁の設置を検討するなど、文化の価値に気付き始めたのかもしれません。

沖縄にとっては、この制度は好都合。というのも、沖縄が芸能・芸術の島であり、また、人々が気楽に古典音楽、琉球舞踊から民謡、焼き物、漆器、織物などなどは当たり前、戦後はロック、そして最近では平田大一さんのようにミュージカルと実に多彩。後はデータベースの活かし方を考えるということになります。

第二と第三の記事では、日本酒と日本食がアメリカでブームとなれば、日本食が広く認知されると、泡盛や琉球料理の売り込みは初期コストがそれほどかからなくてすむという可能性も。課題は前回報告したような商標や意匠の登録と、アメリカ人の嗜好にあった商品開発と市場への素早い展開力となると思います。

団塊世代、スローフード・スローライフ、ロハスなどに加え、今回の記事の内容は、沖縄の社会発展、経済の自立や企業成長にとって追い風のような気がしますが、読者の皆様のご意見はいかがでしょうか。


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Posted by 宮平栄治 at 18:02│Comments(2)沖縄経済学
この記事へのコメント
東京に居りますと、中央の省庁や公的機関・団体、民間団体の施策や助成プログラムなどで、これは、沖縄の企業や人材としても使えるのでは?と思うようなものを見聞きする機会も少なくありません。まずは、東京などにおける、そういった動きに関する情報を収集し、一方で、県内における有望な企業、人材を発掘して情報をストックし、それでもって、中央での動きと県内の人的・物的・知的資源とをマッチングさせるような主体(県・総合事務局・民間・教育機関の連携による)が必要かと思います……が、既にこういったことを、総合的にやっているような機関なり、組織はあるのでしょうか?沖縄には、総事局があるという点では、漫然と東京に居るよりも、中央の情報が集約しやすく、これは、沖縄の有利性だと思うのですが、どうなのでしょうか?前記の主体が県内大学の産学協同プロジェクトや県内の各地域の先進的な動きと接続されれば、沖縄の経済自立に向けたエンジンになるかなとも思います。
Posted by Dai Hatakeyama at 2006年02月28日 00:40
畠山先生

 いつもコメント頂きありがとうございます。

 コメントにもありますように、東京には市場のニーズの変化や各種制度変更の”生”情報が集中しており、沖縄タイムスの「時事こらむ」でも、情報を公共財のような共通資源として戦略的に収集する機関を、行政、業界団体等で設定することを提言した次第です。

 また、貴重なコメントと情報提供をお願い致します。
Posted by 宮平栄治 at 2006年02月28日 09:57
 
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