2006年06月18日

第139回 「ナショナル・ミニマムと財政調整」

夕張市が、17日に自主的な再建を断念し、国の管理下で再建を進める財政再建団体を申請すると報じられました

夕張市といえば、かつては炭坑の街として、戦後復興のエネルギーを供給する街として栄えた街です。国のエネルギー政策が石炭から石油へ転換後、人口減少を食い止めようとさまざまな試みをおこなって来ました。

例えば・・・

特産のメロンを“夕張メロン”としての地域ブランドの確立や、観光で街の経済振興を図ったものの思うようにいかず、今回の決断と至ったようです。

さて、軌を一にして、昨日(17日)と本日(18日)では、国による交付税削減に対するアンケート調査結果、「骨太の方針」に対する県・市町村の反対決議が報じられています。

「地方自治危機突破県総決起大会」では、各市町村は苦しい財政を反映し、交付税の削減には批判が続出。

地方交付税のそもそもの役割は、有力な産業を持たない地域では、財源が乏しく、そのため必要な行政サービスをおこなうとある特定地域の税負担が加重になることを防ぐこと。また、全国的に最低限の行政水準(ナショナル・ミニマム)を確保と地方団体間の税収と財政需要を税政するための財政調整です。

今回、県・市町村の地方自治関係者が怒っているのは、国家財政再建を建前に、税収である地方交付税を地域の実情を配慮することなく、地方の平均や類似団体の平均に合わせようとしている点です。

財政調整機能という目的を果たしつつ、国の財政再建と地方財政を見直すためには、地方交付税のみを削減や地方への努力を促すばかりでなく、財源の不足する地方団体には最低限の行政水準の財源も保障しなければ、地方からの反乱が起こりかねません。

同時に、高齢社会や少子化という世界史上はじめて経験するためモデルが乏しい自体においては、地方自治の関係者がどのような自治が望ましいかを真剣に考える時期だともいえるでしょう。


同じカテゴリー(沖縄経済学)の記事
仙台で考えたこと
仙台で考えたこと(2012-09-09 20:16)

マニュアル人間
マニュアル人間(2012-07-16 06:05)

地酒購入断念
地酒購入断念(2011-12-11 18:27)


Posted by 宮平栄治 at 23:48│Comments(0)沖縄経済学
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。